MIT、ハーバード・ビジネススクールを経て、インテル本社で働いてきた著者が、異文化環境で働くために必要なスキルを紹介。グローバルビジネスにおいて、気をつけるべきポイントがわかります。
■なぜ異文化主張力が必要なのか
異文化主張力とは、自国文化とは異なる環境の下で言うべき事を言える力だけではない。異文化主張力とは「議論力」「営業力」「交渉力」「組織統率力」「人材力」を含んだ概念である。こうした力が異文化環境での仕事には必須である。
日本人は異国で成し遂げたい目標に達する事ができない。ほうぼうで日本企業は「技術で勝ってビジネスで負けて」いる。優秀な技術者は日本にもアメリカのシリコンバレーにもいる。しかし、決定的な違いがある。日本の技術者は技術一筋で精進する事をよしとする風潮がある。これでは視野は狭くなる。シリコンバレーのエンジニアはある一定の技術的経験を積んだ後、自身の社会的価値を高めるため営業、マーケティング、企業提携、資金調達などのノウハウを続々と身につけていく。技術の優位性だけでヒットする商品やサービスは100に1つあるかないかで、残りの99%は営業力、交渉力や提携力で成功させなくてはならないからだ。
■異文化議論の成功の鍵・ステップ
①グリーンライティングで参加者の心を開き、その奥にある考えを引き出す。
②適切なフィードバックを与える。
③異文化型コンセンサス作りをする。
■異文化営業の成功の鍵・ステップ
①エレベーター・プレゼンとpain point(危機感を感じている事例)で相手に「おやっ?」と思わせる。
②なるべく早い段階で相手のトップにアクセスし、①を行う。
③相手のニーズを的確に掴んだ後、そのニーズに合った提案をする。
④「押してだめなら引いてみろ」、どうしてもだめなら他のターゲットを紹介してもらう。
⑤進展があったら必ず痕跡を残す。そして受注につなげていく。
■異文化交渉の成功の鍵・ステップ
①交渉ゲームの構造を把握する。
②目標、最低線と第一手を確定し、共有する。
③相手の参加者、質問と譲歩パターンをモニターし、相手の②を解明する。
④交渉の初期段階では、相手には意味があるが、こちらには負担が少ない譲歩をする。
⑤こちらが弱い立場の場合は他と組んでかかる。
⑥交渉終盤のタイミングを逃さない。
■異文化混合組織を動かすための成功の鍵・ステップ
①優先順位トップ3の経営課題を選択し共有する。
②それに基づき公平な目標管理システム、人事評価システム、報酬システムを連動。
③状況に合った権限委譲を行う。
④リスクと危機から逃げず、管理する。
■グローバル人材のハブになるための成功の鍵・ステップ
①カタコトでもいいから外国語を習う
②相手国の文化や歴史について話題にできるように、あらかじめ調べておく。
③美術、芸術、スポーツなど仕事以外の交流も積極的に行う。
④自分のキャリア目標に合わせ「脈活」計画を作る。
⑤グローバル人脈の量と質を管理しながら、「脈活」を行い、自身の市場価値を高める。
著者 T.W.カン
1957年生まれ。グローバル・シナージー・アソシエイツ代表 1983年シリコンバレーにあるインテル本社に入社。新製品企画、海外事業などを担当。1987年にインテル・ジャパンのシステム本部長に就任。1990年グローバル・シナジー・アソシエイツを設立。 シーメンス、フィリップスなどの経営コンサルタント活動を行い、東証一部上場企業を含む日米中各国企業4社の社外取締役を歴任。
帯 資生堂名誉会長 福原 義春 |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2013年 12月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.3 | 6分 | |
序 章 ビジネスのゲームに勝つために | p.25 | 12分 | |
第1章 論理力はサンデル教授に習え | p.49 | 24分 | |
第2章 お客様は必ずしも神ならず | p.95 | 21分 | |
第3章 タフネゴシエーターの条件 | p.135 | 25分 | |
第4章 グローバルに通じる組織の作り方 | p.183 | 21分 | |
第5章 自身の市場価値を上げ、グローバル人材のハブになる | p.223 | 19分 |
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