フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想を、物語形式でまとめた一冊。対人関係の悩みを解消するための、心の持ち方が書かれています。
■トラウマを否定せよ
過去の原因にばかり目を向け、原因だけで物事を説明しようとすると、話はおのずと「決定論」に行き着く。即ち、我々の現在、未来はすべてが過去の出来事によって決定済みであり、動かしようのないものであると。我々は原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めない。
我々は過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している。アドラー心理学では、過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考える。人はいつでも、どんな環境に置かれていても変われる。変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからである。人は、いろいろと不満はあったとしても、「このままのわたし」でいる事の方が楽であり、安心なのである。不幸なのは、過去や環境のせいではなく、ただ勇気が足りないのである。
人は自分を好きになりたい。自分には価値があるのだと思いたい。そのためには「私は誰かの役に立っている」という貢献感が欲しい。そして貢献感を得るための手近な手段として、他者からの承認を求めている。
しかし、貢献感を得るための手段が「他者から承認されること」になってしまうと、結局は他者の望み通りの人生を歩まざるを得ない。承認欲求を通じて得られた貢献感には、自由がない。
そこで必要となるのが、自己への執着を他者への関心に切り替え、共同体感覚(社会への関心)を持てるようになる事である。そのためには、ありのままの自分を受け入れる。「自己受容」するからこそ、裏切りを怖れる事なく「他者信頼」する事ができる。そして他者に無条件に信頼を寄せて、人々は自分の仲間だと思えているからこそ、「他者貢献」する事ができる。さらには他者に貢献するからこそ「私は誰かの役に立っている」と実感し、ありのままの自分を受け入れる事ができる。
著者 古賀 史健
1973年生まれ。フリーランスライター 出版社勤務を経て24歳でフリーに。30歳からは書籍のライティングを専門とする。以来、「ライターとは“翻訳者”である」「文章は“リズム”で決まる」を信念に、ビジネス書や教養書を中心に現在まで約80冊を担当。多数のベストセラーを手掛ける。
著者 岸見 一郎1956年生まれ。哲学者 専門の哲学に並行して1989年からアドラー心理学の研究をしている。京都教育大学教育学部、甲南大学文学部、京都府医師会看護専門学校、奈良女子大学文学部非常勤講師、前田医院(精神科)勤務などを経て、現在は、聖カタリナ女子高等学校看護専攻科(心理学)非常勤講師。 日本アドラー心理学会認定カウンセラー。日本アドラー心理学会顧問。
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章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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イントロダクション | p.2 | 5分 | |
第1夜 トラウマを否定せよ | p.17 | 28分 | |
第2夜 すべての悩みは対人関係 | p.59 | 43分 | |
第3夜 他者の課題を切り捨てる | p.125 | 30分 | |
第4夜 世界の中心はどこにあるか | p.171 | 32分 | |
第5夜 「いま、ここ」を真剣に生きる | p.219 | 45分 |
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