投資銀行、戦略系コンサルティングファーム、資産運用会社、プライベート・エクイティに至るまで、様々なグローバルキャリアを持つ著者が、エリートの仕事ぶりをまとめた1冊。東洋経済オンラインで人気のコラムを書き足して、書籍化したもの。


■世界のトップエリートに共通する7つの特徴
①勝つ事への意欲が強く、完璧主義者で細部にまでこだわりが強い
資料1つとっても、1枚1枚の句読点から「てにをは」まで、お客さんに出す資料はすべて自分でチェックしないと気が済まない。ビジネス交渉になっても、彼らの細部へのこだわりは、いかんなく発揮され、些細な金額や発生確率0.1％に思えるような事態への対処まで、交渉を粘り強く行っていく。そうした「僅差」のこだわりが勝敗を分ける事も多い。

②お金に驚くほど細かい
相手をもてなす時などには、盛大に身銭を切って使う事もある一方、レストランに行く時も、ホテルに泊まる時も、その必要がないと判断したら、驚くほど最安値を追求する。これはお客さんである投資家へのメッセージでもあるのだ。もし自分のお金を預けて投資してもらうなら、お金にルーズな人に預けたいと思うだろうか。

■投資銀行で学んだ仕事の極意
①目の前の仕事は素早く、正確に、大量にこなす
まず若手の頃に大切なのが、正確さとスピードと三日徹夜しても生き残る体力である。投資銀行に入ると、最初の数年は資料作成の手伝いをする事が圧倒的に多い。資料づくりでは、量と同時に質も求められる。売っているモノが形のないサービスの上に、仕事の質が顧客からはわかりにくい業態なので、一番わかりやすい「資料のきれいさ」が重要視されるからだ。

②6つのコツで部下の尊敬と支持を得る
部下の使い方がうまい人の共通点は6つ。

・部下の認知欲を満たして安心させ
・部下の成長を願っている事を言動で示して信頼を勝ち取り
・「役職上の権力」ではなく「人と人との信頼関係」で部下を動かし
・無駄な仕事をつくらず部下の仕事を減らし
・部下が失敗した時には盾になって守り
・自分の人脈やノウハウを積極的に部下とシェアする

③需要のある話題を先読みし、第一人者になる
トップアナリストとされる人々の株価予想や売買判断も、半分ははずれ、半分しか当たらない。5割の確率でしか当たらなくても、トップアナリストでいられる理由は、「トップ」かどうかは「顧客である機関投資家の人気投票」によって決まるからだ。その人気は必ずしも株式選定の精度で決まるわけではない。

株価予想をはずし続けてもトップアナリストでいられる人は、マーケットが聞きたくなるトピックに関していち早く勉強し、間違っていようといまいと、とにかく真っ先に発表して第一人者と見なされる努力を続けている。

著者 ムーギー・キム

1977年生まれ。AI Partners(シンガポール)パートナー ディープキャリア取締役 ブルー・オーシャン・グローバル・ネットワークメンバー 大学卒業後、世界最大級の外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、世界で最も長い歴史を誇る大手グローバル・コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、韓国・欧州・北欧・米国ほか、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。 2005年より世界最大級の外資系資産運用会社にて、バイサイド・アナリストとして株式調査業務を担当したのち、香港に移住してプライベート・エクイティ投資業務に転身。アジア・太平洋地域での投資業務を歴任後、世界最高水準のビジネススクール、インシアードに留学。中国上海のMBA、CEIBS(中欧国際工商学院)にも交換留学。 現在は日本とシンガポールを拠点に、投資×企業イノベーション×グローバル人材(採用・研修・コーチング)の3領域で活動。2017年翔泳社ビジネス書大賞受賞。2020年よりオンラインサロン「最強&一流の基本」を開設。