シェアリング・エコノミーの登場
人間同士が接続されたネットワーク内では、その人の持つリソース(資源)へのアクセスが可能になる。それは時にお金であったり、所有物、労力、経験、知恵などになる。こうした資源へのアクセスは、コミュニティの一員が提供する事もあり、趣味、関心、思想などを介するバーチャルコミュニティがリアル社会へと次第に影響を及ぼしつつある。
リアル社会では、なかなかすべてがオープン化される訳ではない。それがリアルな物質であるために、希少性があるからだ。希少性のあるものを配分すれば、所有者に損失が生じてしまう。しかし、それがウェブで無限に複製可能なものであれば、初期の労力にだけ目をつぶればよい。こうしてコンテンツ、アイデアなどが世に登場し、多くの人間が「シェア」の恩恵に与っている。
人間中心主義のネットワーク上では、人々は情報や知財、具体的なモノなどの資源の価値にアクセスする。それは「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」とも呼ばれるウェブならではの概念だ。自らの資源を「シェア可能」にする事で、それまで眠っていた資源の流動化が促される。
シェアリング・エコノミーではインターネットを利用して参加者が様々な資源を共有し、新しいサービスを共創していく。旧来の所有という概念を脱し、自らが持つ価値へとアクセスを促すのだ。そして、その資源を適正に再分配する事で新しい換金手法を得る。
しかし、人々が自らのリソースを自発的に共有していくといっても、それは単純な性善説による訳ではない。リアル社会と同様「信用度」による。シェアラブルの世界では、参加者が「何者か」が問われる。
シェアの前提には、まず自分たちの抱えている問題や資源をオープンにする事から始め、そこから外部と接続するという流れがある。それをシェアする事で、周りの人々の力をうまく活用するのだ。何かを開始しようと考える時、まず必要とされるのが「オープン」という考え方である。「オープン」はインターネットの原理にとどまらず、現実世界の様々な側面で、その社会の根本原理を覆してしまうほどの力を発揮している。
7つの視座
リアル社会での生活にこそウェブ的な思考を持ち込み、それを活かす事が可能だ。そのためには「7つの視座」が役に立つ。
①失敗をし、失敗を許す
②新しい「希少」を探す
③違うもの同士をくっつける
④検索できないものを見つける
⑤素敵に周りの人の力を借りる
⑥アイデアはバージョンアップさせる
⑦ウェブのリアリティを獲得する