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2014/05/22更新

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

321分

15P

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地域格差が問題となる時代がやってくる

高い技能を持った人材が集まる場所こそが経済発展する。そして、成長する都市の高卒者の給料は、衰退する都市の大卒者の給料よりも高くなる。今後は優れた企業が集まる地域と、衰退していく地域の格差が問題となると説く。


■製造業からイノベーション産業の時代へ
アメリカ経済の産業構造は50年以上かけて、従来型の製造業から、知識、アイデア、イノベーションに関わる産業へと転換してきた。昔ながらの製造業の雇用が減り、イノベーション産業の雇用が増え続けている。一方、イノベーション産業が成長したところで、製造業雇用の減少を埋め合わせるほどの雇用は生み出されないと指摘する人がいる。フェイスブックやツイッターなどのオンラインサービス企業は、ユーザーに多くのコンテンツ創造させているため、実際は多くの雇用を生み出せていないとされる。

しかし、データを見ると、話は単純ではない。フェイスブックは本社で1500人、それ以外の土地で1000人の従業員しか雇っていない。これはアメリカ国内で約14万人を雇用しているGE等とは比べ物にならない。しかし、フェイスブック向けアプリを開発しているソフトウェア企業は53000以上の雇用を直接創出しているほか、関連のビジネスサービスで13万以上の雇用を間接的に生み出している。フェイスブック関連の雇用で支払われている賃金と付加給付は合計で120億ドルを上回る。

超短要約

■失われていくものづくりの雇用
製造業はもはや地域経済の繁栄のエンジンとは言えなくなった。かつて栄華を誇ったアメリカの製造業都市は往年の勢いを失い、人口の縮小と経済の不振に悩まされている。製造業の衰退により地域社会がこうむる最も大きな打撃は、製造業で働いていた人達が職を失う事ではない。工場が閉鎖されれば、その都市でサービス関連の仕事に就いていた人の多くも働き口を失う。研究によれば、製造業の雇用が1件減ると、最終的にはその土地で非製造業の雇用も1.6件減る。美容師やレストランのウェーター、大工、医師、清掃員、小売店の店員にも打撃が及び、特に建設関連の雇用に影響が大きい。工場で働く人達の収入が干上がれば、同じ都市に住む他の人達の収入も干上がるのである。

製造業の雇用が減った原因は、グローバル化だけではない。1970年以降、アメリカの製造業の生産高は倍増しているが、雇用は減り続けている。その理由は、技術の進歩と、新しい機械への投資により、工場の生産性が飛躍的に向上したからである。

■人的資本の世紀
かつて、良質な雇用と高い給料は、工業製品の大量生産と密接に結びついていた。工場こそが経済的価値の生まれる場所だった。しかし今日は、誰でもつくれるような製品を生産しても大きな価値を生み出せない。良質な雇用と高い給料の供給源は、次第に、新しいアイデア、新しい知識、新しいテクノロジーを創造する活動に移ってきている。そうした変化は今後も続き、さらに加速するだろう。それに伴い、イノベーション能力に富んだ人的資本と企業を引きつけようとする国際競争が激化する。そして、人的資本がどこに集まるかは、地理と集積効果の影響を一層強く受けるようになる。その結果、国が繁栄するか衰退するかは、その国の頭脳集積地の数と実力にますます大きく左右されはじめる。物理的な工場の重要性は低下し続け、その代わりに、互いにつながり合った高学歴層が大勢いる都市が、アイデアと知識を生む「工場」として台頭するだろう。

■高い技能を持った人材が集まる地域との格差が問題となる
今、アメリカの社会は急速に分断されつつある。成長している産業が集中する一握りの都市で良質の雇用が生まれ、人々が高い給料を手にする一方、それ以外の大都市の都市はますます取り残されて、置いてけぼりをくっている。個人が経済的に低迷している都市を抜け出し、繁栄を謳歌している都市に移り住む事は可能だが、すべての人が移住できる訳ではない。そこで、質の高い雇用を生み出せず、高い技能をもった人材を引き寄せられずにいる地域をどうすれば助けられるのかが、大きな問題になる。

著者 エンリコ・モレッティ

カリフォルニア大学バークレー校教授 専門は労働経済学、都市経済学、地域経済学。 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)国際成長センター・都市化プログラムディレクター。 サンフランシスコ連邦準備銀行客員研究員、全米経済研究所(NBER)リサーチ・アソシエイト、ロンドンの経済政策研究センター(CEPR)及びボンの労働経済学研究所(IZA)リサーチ・フェローを務める。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
序 章 浮かぶ都市、沈む都市 p.8 17分
第1章 なぜ「ものづくり」だけではだめなのか p.32 23分
第2章 イノベーション産業の「乗数効果」 p.64 27分
第3章 給料は学歴より住所で決まる p.102 41分
第4章 「引き寄せ」のパワー p.160 33分
第5章 移住と生活コスト p.206 20分
第6章 「貧困の罠」と地域再生の条件 p.234 36分
第7章 新たなる「人的資本の世紀」 p.284 29分

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