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2014/07/21更新

イノベーションの最終解 (ハーバード・ビジネス・セレクション)

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イノベーション理論で将来を見通す方法

ハーバード・ビジネススクールのクリステンセン教授が、イノベーション理論を使って、業界の変化を予測する方法を紹介している本。過去の事例などを用いながら、業界の変化を理論的に解説しています。


■業界の変化を予測するためのプロセス
将来を見通すには、優れた理論を利用する以外に方法はない。なぜなら、誰の目にも明らかなデータが手に入るのは過去の事に関してだけだからだ。優れた理論は、データが不足している時でも、重要な動向を理解するための確実な方法を与えてくれる。業界の変化を予測する手段として理論を用いるためには、次の3部構成を用いる。

①変化のシグナル
変化が起こりそうな状況や、過去とはかけ離れた将来が出現しそうな状況を指し示すシグナルのこと。こうした状況では、過去に例のない新しい製品・サービス、ビジネスモデルをもった企業が現れると予想される。どこで何を探すかがわかっていれば、業界を変え得る企業が頭角を現す前に発見できる。

②競争のバトル
「攻撃側の企業」と「既存企業」とに大まかに定義される企業の直接対決のこと。一般にイノベーションのプロセスでは、新規参入企業が強力な既存企業の縄張りに侵入する。理論を活用すれば、このバトルでの勝者を予測できる。

③戦略的選択
競争のバトルの帰結に影響を与える選択。攻撃者が力の均衡を自らの有利に傾けるには何ができるかを考える。

超短要約

イノベーションの理論を使って業界の変化を予測する方法は、3つの反復的なステップからなる。

①変化のシグナルを探す
業界の環境変化や、無消費者、満たされない顧客、過剰満足の顧客を新しい方法で獲得している企業を示唆するシグナルはないだろうか。

②競争のバトルを評価する
競合企業の経営状況を把握し、非対称性の剣と盾を持っている企業を探す。

③破壊のプロセスを正しく実行できるチャンスを増やす、または減らすような、重要な戦略的選択に目を配る

ほとんどのイノベーションは、破壊的イノベーションではない。最も重要で最も収益性の高いイノベーションの多くは、よい製品・サービスをよりよくする持続的イノベーションである。持続的イノベーションを推進する新規参入企業が、イノベーションをもとに大規模な事業を構築しようとするなら、成功する見込みは低い。新規参入企業が莫大な資金を費やせるのでない限り、この道は危険が大きい。

新規参入企業と既存企業にとっての適切な市場進出戦略が変化するのは、過剰満足が生じ、インターフェースがモジュール化を促すような形で変化する時だ。専門的企業はこの段階で市場に参入し、価値の分け前に与る事ができる。既存企業が市場の一部の階層を過剰満足させ、市場が求めるよりも速いペースでイノベーションを推進している事が、モジュール性へのシフトの予兆である場合が多い。しかし既存企業はモジュール性にシフトする事によって、確かにイノベーションを加速させるが、それと共に性能を左右する部品やサブシステムの製造業者に価値がシフトしてしまう事に気づく。こうしたシフトを認識し、適切な対策をとる既存企業は、将来魅力的な利益が宿る場所に向かって「スケート」していけるだろう。

著者 クレイトン・クリステンセン

1952年生まれ。ハーバード・ビジネス・スクール教授 ボストンコンサルティンググループで活躍後、ホワイトハウスフェローとして運輸長官などの補佐を務める。 1984年に、セラミックス・プロセス・システムズ・コーポレーションというベンチャー企業を起業し、社長・会長を歴任。その後、現職。

著者 エリック・ロス

マッキンゼー コンサルタント ミドルベリー大学で国際政治経済学士、HBSでMBAを取得。

著者 スコット・アンソニー

イノサイト社 共同経営者 ダートマス大学で経済学を学び、主席で学士号を取得。クレイトン・クリステンセン教授が創設したイノサイト社のマネージング・パートナー。 イノベーション分野に特化したグローバル経営コンサルティングと投資活動を行なう。シンガポール・オフィスを本拠地として、アジア太平洋地域でベンチャーキャピタル投資活動を行なう。また、グローバル企業が長期にわたって存続するための戦略立案や、イノベーション実現に向けて支援を行なっている。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
序 章 p.1 28分
第一章 変化のシグナル――機会はどこにある? p.37 24分
第二章 競争のバトル――競合企業の経営状況を把握する p.67 24分
第三章 戦略的選択――重要な選択を見きわめる p.97 19分
第四章 イノベーションに影響を与える市場外の要因 p.121 23分
第五章 破壊の学位――教育の未来 p.153 31分
第六章 破壊が翼を広げる――航空の未来 p.191 28分
第七章 ムーアの法則はどこへ向かうのか?――半導体の未来 p.225 24分
第八章 肥大化した業界を治療する――医療の未来 p.255 28分
第九章 海外のイノベーション――理論をもとに企業と国家の戦略を分析する p.289 19分
第一〇章 電線を切断する――通信の未来 p.313 44分
終 章 結論――次に来るのは何か? p.367 8分
付 録 主要な概念のまとめ p.377 18分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press) イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
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イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press) イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)
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