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2014/10/01更新

マーケティングと共に フィリップ・コトラー自伝

162分

2P

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影響を受けた本

選んだのがシカゴの名門、デポール大学だった。奨学金を全額出してくれるのも決め手の1つだが、会計と法律を同時に学べ、この組み合わせがビジネス界で尊敬されていたからだ。ただ、大学2年生になったあたりから「何かが足りない」と思うようになっていた。もっと幅広い教育を受け、本質的な思想を見つけるべきだと考えた。

マーケティングに関する考え方に最も大きな影響を及ぼした本をあえて選ぶとすればジークムント・フロイトの『幻想の未来/文化への不満』だろう。これはフロイトの初期の作品で、本能的性欲動の源泉、自我、超自我がどのように私達の人格や欲求を形成するのかを考察している。

4つのP

デポール大で2年過ごした後、シカゴ大学に奨学金付きで入学。経済学修士を取得した20代半ばに目指す道は明確になっていた。一流の大学で経済学教授として卓越した業績を残す事が目標だ。

MITで経済学の博士号を手にした後、ハーバード大学で高等数学を学ぶ。ここで専門分野にマーケティングを選んだ。その理由は市場や価格決定メカニズムが本当にどのように機能するのか知りたかったからだ。それまでの経済学は需要と供給によって価格が決定されるプロセスを抽象的に表現、分析していたが、満足していなかった。マーケティングは生産者から卸売会社を経て小売業に至るまでに価格が実際にどのように決定され、企業の広告や販売促進などで需要曲線がどのようにシフトするかを分析する応用経済学の1つなのだ。

そもそもマーケティングという言葉が専門書に登場するのは1910年頃になってからだ。当時の経済学者は商品の売買の成立が需要と供給と価格だけで決まるのではなく、流通機構や広告宣伝などの経済活動を見逃してきた事に気付き、問題意識が芽生えたのだった。マーケティング学の歴史はここから始まった。経済学者がまず指摘したのは、需要に影響を及ぼすのは価格だけではなく、広告、営業戦力、セールス・プロモーションなども重要であるという事だ。次に市場活動には卸売業、流通業、小売業、仲買人、代理店、広告代理店、市場調査会社、広報会社など多様な組織が携わっている事も指摘した。

ハーバード大学でのマーケティングのプログラムに加わり、多くの素晴らしい研究者たちと出会う事になる。「4つのP(製品、価格、場所、販売促進)」を最初に提唱したジェリー・マッカーシーも一緒に机を並べていた。この4つのPを様々な分野に活用、実践した。企業のマーケティング部門は次第に4つのPを網羅するマーケティング計画を策定する役割を与えられるようになった。

ハーバード大学での1年が終わり、ノースウェスタン大学経営大学院で教壇に立つ事になった。経済学を教える事より「マーケティング理論や実践の研究に人生を懸ける」のが出した結論だった。