Googleのマネジメント方法が紹介されている本。創業以来、Googleはどのような企業文化を築き、どのように人を採用し、イノベーションを起こしてきたのか。Googleの成功の秘訣が書かれています。
■優秀なエンジニアを集める
ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンはグーグルをいくつかのシンプルな原則に基づいて経営していたが、そのうち最も重要なのが「ユーザーを中心に考えること」だった。最高のサービスを生み出せば、お金は後からついてくると信じていたのだ。そのための戦略も、同じようにシンプルなものだった。優秀なエンジニアをできるだけたくさん採用し、自由を与えるのだ。グーグルが成功し、壮大な野望を遂げるためには、とびきり優秀なエンジニアを惹き付け、引っ張っていくしかないと感じていたからだ。実際、エンジニア以外には興味もなかった。今でも従業員の半分以上はエンジニアでなければならない、というのが大原則である。
経営方針も同じようにシンプルだった。従業員には大きな自由を与え、コミュニケーションを通じて全員がおおよそ同じ方向に進むようにしたのだ。二人はインターネットの重要性と検索の力に対する強烈な信念があり、それを社内のあちこちに巣食う小規模なエンジニアチームとのインフォーマルなミーティングや、何でも議題にしていい全社集会の場で伝えた。
経済学では主要な生産要素の費用曲線が下方にシフトすると、その産業に大きな変化が起こるという。今日、安くなった生産要素は3つ。情報、インターネットへの接続、コンピューティング能力である。今やこうした要素は過剰になり、参入障壁は低く、あるいは消滅した。その結果、今や企業の成功に最も重要な要素はプロダクトの優位性になった。情報の管理能力でも、流通チャネルの支配力でも、圧倒的なマーケティング力でもない。
プロダクト開発はより柔軟で、スピードが求められるプロセスになった。劇的に優れたプロダクトを生み出すのに必要なのは巨大な組織ではなく、数え切れないほどの試行錯誤を繰り返す事だ。つまり成功やプロダクトの優位性を支えるのはスピードなのだ。今日、成功している企業の際立った特色は、最高のプロダクトを生み出し続ける能力だ。それを手にする唯一の道は、スマート・クリエイティブ(実行力に優れ、コンセプトを考えるだけでなく、プロダクトをつくる人間)を惹き付け、彼らがとてつもない偉業を成し遂げられるような環境をつくり出す事だ。
グーグルCEOアドバイザー ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンと初めて会ったのは2000年で、2年後に3度目のオファーを受けてグーグル入社。 グーグルではシニア・バイスプレジデントとして2011年4月までプロダクトチームの責任者を務め、消費者、広告主、パートナー向けプロダクトの設計、開発、改良を指揮。採用プロセスの確立にも携わったほか、コミュニケーションとマーケティング業務の整備でも影響力を発揮した。 現在はラリー・ペイジCEOのアドバイザー。 グーグル入社以前はエキサイト@ホームでプロダクトとサービスの責任者を務め、アップルでは「eWorld」プロダクト群のマネジメント、ナイトリッダー・インフォメーション・サービシーズではプロダクトマーケティングを担当した。
著者 エリック・シュミット1955年生まれ。Google 元会長 2001〜2011年までGoogleの最高経営責任者(CEO)を務め、創設者のサーゲイ・ブリン、ラリー・ペイジとともにGoogleの技術や経営戦略を統括してきた。2011年から2015年まで、グーグル経営執行役会長。2015年から2018年まで、グーグルの持株会社アルファベット経営執行役会長。現在はグーグルとアルファベットのテクニカルアドバイザーを務めている。 Google入社以前は、ノベルの会長兼CEOやサン・マイクロシステムズの最高技術責任者(CTO)を務めていた。それ以前は、ゼロックス Palo Alto Research Center(PARC)で研究員を務め、Bell Laboratoriesやザイログに勤務していた。
著者 アラン・イーグルグーグル エグゼクティブ・コミュニケーション責任者 2007年グーグル入社。以来、エグゼクティブ・コミュニケーション(経営幹部の広報)担当ディレクターを務める。エリックやジョナサンを含む複数の幹部のためのスピーチ作成のほか、さまざまなコミュニケーション活動を指揮。 グーグル入社以前は、テルミー・ネットワークスやオクテル・コミュニケーションズなど複数のシリコンバレーのベンチャー企業で営業やプロダクト・マネジメントを担当。
日経ビジネス |
TOPPOINT |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
日経トップリーダー |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2015年 01月号 |
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2015年 02月号 |
ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016年 01 月号 [雑誌] (意思決定の罠) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.13 | 28分 | |
文化―自分たちのスローガンを信じる | p.47 | 42分 | |
戦略―あなたの計画は間違っている | p.99 | 32分 | |
人材―採用は一番大切な仕事 | p.138 | 50分 | |
意思決定―「コンセンサス」の本当の意味 | p.200 | 30分 | |
コミュニケーション―とびきり高性能のルータになれ | p.237 | 30分 | |
イノベーション―原始スープを生み出せ | p.274 | 48分 | |
おわりに | p.333 | 21分 |
ウィニング 勝利の経営 [Amazonへ] |
最後の授業 ぼくの命があるうちに (ソフトバンク文庫) [Amazonへ] |
巨象も踊る [Amazonへ] |
ウィキノミクス [Amazonへ] |
エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics) [Amazonへ] |
「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針 [Amazonへ] |