見た目と内なる力のバランスをとる
人は「見た目」の変化に敏感に反応する。企業が作っている製品、またその製品のパンフレットなど、企業が外に向けて発信しているすべてのビジュアルにも言える。
「見た目(目に見える一番外側のビジュアル)」と「内なる力(内からにじみ出る力)」、この2つはニワトリと卵のようなもので、どちらが先というものではない。常に双方が影響し合って1つの形を形成する。「見た目」と「内なる力」はリンクしていて、双方がバランスよく保たれている事が大切である。この両者のバランスの取り方を決めて、価値を最大化する方法が、視覚マーケティング戦略である。
外側のビジュアルを内的改善の力として利用するのか、内側の変化を表出させて威力を増すのか、あるいは両方をどう組み合わせるのかという事を意識すると、いわゆる「ブランドイメージ」をコントロールできるようになる。
・生ジュース → やや昭和っぽい
・スムージー → おしゃれで健康的なライフスタイル感
人はまず見る事から様々なシーン、効果・効能をシュミレーションする。そして、脳が勝手に想像して、錯覚し、期待を持つ。スムージーを素敵だと感じる人が見ているのはスムージーが持つ「世界観」であって、野菜や果物をブレンドしたスムージーという飲み物そのものではない。このような「世界観」の事を、広告デザインの業界では「トーン・アンド・マナー」と呼ぶ。
世界観を統一する
人が誰でも絶対に感じる「高そうVS安っぽい」「好きVS嫌い」という2つのベクトルの価値観をコントロールしながら、見た人誰もが同じ印象を感じるような世界観を作り上げる。これがトーン・アンド・マナーを考えたブランドデザインである。
会社がトーン・アンド・マナーを決めて、市場に対してコミットメントしたら、次に同じトーン・アンド・マナーで統一しなければならない。そのための手法には「好き嫌い」「高そう安っぽい」という2軸の他に、全体感をスケールする「トンマナレーザーチャート」などを使用する。
周辺情報をリサーチしてからデザインする
「新商品を売れるようにするデザイン」を知りたい時、行動観察の分析が有効である。製品の周辺情報、つまり製造者から始まり、流通、店舗、さらには使用者という一連の流れの中に身を投じてフィールドワークして、生の情報をつかむ。
こういったリサーチを経ずにいきなりデザインをしてしまうと、情報が足りず、とても狭い視野でのデザイン案しか生まれない。まず大切な事は、周辺情報から自分たちの商品・サービスが持っている価値をもう一度見つめ直す、洗い直す事である。