ウォーレン・バフェットからビル・ゲイツに渡され、20年間読み続けられたビジネス書。ビル・ゲイツは、ゼロックスの章での成功と衰退について「最も教訓的なストーリーのひとつ」と呼んでいる。
■ゼロックスの物語
複写機にはマーケティング上の問題が立ちはだかった。そもそも書類を大量に複写したいとは誰も思わなかった。ビジネスマンも弁護士も、書類の写しが5部必要なら事務員に5部写させていた。さらに「写す」という言葉には、偽造といった好ましくない語感がつきまとっていた。
20世紀になると、こうした見方は様変わりする。工業化の波によって複写の必要性が高まり、事務所類を複写する作業が急激に増えた。20世紀に入ると謄写版印刷も事務作業に欠かせないものとなった。
1930年代から40年代になると、謄写版よりはるかに高品質を誇るオフセット印刷機が事務用機器として広く採用された。ところが、オフセット印刷機も謄写版と同じく、コストがかかり、印刷部数が多い場合に限られた。安価で速いコピー機の開発は遅々として進まなかった。
ゼロックスの成功は自由企業を理想とする古くからの精神が今でも生き続けている証であり、ゼロックスに成功をもたらしたのは理想主義と粘り強さ、リスクを冒す勇気、そして情熱である。
著者 ジョン・ブルックス
1920年生まれ。作家 雑誌「The New Yorker」で金融関係を専門とする記者として長年勤務したほか、フィクション・ノンフィクションの両分野で多くの著書を残した。1993年没。 『マネー・ボール』や『世紀の空売り』などのベストセラーで知られるマイケル・ルイスは「ブルックスは間違った認識をするときでさえ、少なくとも面白い間違い方をする」と評し、影響を受けた作家だと称賛している。
日本経済新聞 |
日経ビジネス |
帯 パークシャー・ハサウェイ会長兼CEO ウォーレン・バフェット |
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2015年 02月号 マイクロソフト創業者 ビル・ゲイツ |
日経トップリーダー |
週刊東洋経済2/14号 福山大学経済学部教授 中沢 孝夫 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 伝説的な失敗──フォード社エドセルの物語 | p.1 | 54分 | |
第2章 公正さの基準──テキサス・ガルフ・サルファー社インサイダー事件 | p.71 | 26分 | |
第3章 ゼロックス、ゼロックス、ゼロックス、ゼロックス | p.105 | 34分 | |
第4章 もう一つの大事件──ケネディの死の裏側で | p.149 | 23分 | |
第5章 コミュニケーション不全──GEの哲学者たち | p.179 | 23分 | |
第6章 最後の買占め──メンフィスの英雄、かく戦えり | p.209 | 26分 | |
第7章 二つめの人生──ある理想的なビジネスマンの記録 | p.243 | 31分 | |
第8章 道化の効能──いくつかの株主総会にて | p.283 | 20分 | |
第9章 束の間の大暴落──永遠のホセ・デ・ラ・ヴェガ | p.309 | 23分 | |
第10章 営業秘密の変遷――ダンス、クッキー、宇宙服 | p.339 | 16分 |