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2015/03/26更新

いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学

356分

9P

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時間がない人が陥る罠

いつも「時間がない」という状況に追い込まれている人に起こっている心理的メカニズムを解説している一冊。時間、お金など、いつも何かに欠乏している状態に陥る事のリスクについて書かれています。


■欠乏の行動経済学
欠乏とは、自分の持っているものが必要と感じるものより少ない事である。欠乏は心を占拠する。心は自動的に、否応なく、満たされていないニーズの方を向いてしまう。空腹な人は食べ物、多忙な人にとっては仕上げる必要のあるプロジェクトかもしれない。金欠の人にとっては今月の家賃かもしれないし、孤独な人にとっては話し相手かもしれない。欠乏は、持っているものがごくわずかだという不満だけにとどまらない。人の考え方を変える。人の心に居すわる。欠乏は無意識に作用し、心の持ち主が望むかどうかにかかわらず、その注意を占拠するのだ。

欠乏感の要因には、何が大事かについての主観的な感じ方もかかわっている。そのような欲求は文化や育ち、あるいは遺伝によって決まる。欠乏は単なる物理的制約だけではない。それはマインドセットでもある。

超短要約

人は重要でしかも期限がすぐ来る課題に取り組む時、爆発的に生産性が上がる。これを集中ボーナスと呼ぶ。その一方で多忙な人は重要だが緊急でない課題をほったらかす傾向がある。それは常に後回しにできる課題だ。そして人はそうする。重要だが緊急でない活動を後回しにするのは、借金に似ている。それをしない事で、今日は時間が浮く。しかし将来にツケが回る。後でそれをやる時間を見つける必要がある。そうこうしている内に、それをやらない事の代償を払うか、それをやれば得られたはずの利益を失うかもしれない。

人は欠乏し、トンネリングを起こすと、放置しても平気な重要だが緊急でない事を先延ばしにする。それをやる事で得られる効果は、トンネルの外にあって見えない。だから緊急の事がすべて終わるのを待つ。将来得られる利益がかなり大きくなる可能性があっても、人はそういう小さい投資をしない。

欠乏は目先の事しか見ない行動を生む。大体において、欠乏の問題は人を今日に縛り付ける。人の心を占拠する欠乏は今の事であり、それがトンネリング税を生み、人を近視眼的な行動に導く。

著者 エルダー・ シャフィール

プリンストン大学ウィリアム・スチュワート・トッド心理学教授 専門は認知科学、行動経済学。行動経済学の成果の社会問題への応用をアドバイスする非営利組織“アイデアズ42”の創立者。

著者 センディル・ ムッライナタン

ハーバード大学経済学教授 俗に「天才賞」と呼ばれるマッカーサー賞の受賞者で、専門は行動経済学・発達経済学。行動経済学の成果の社会問題への応用をアドバイスする非営利組織“アイデアズ42”の創立者。

この本を推薦しているメディア・人物

帯
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マインドマップ的読書感想文 マインドマップ的読書感想文
smooth
帯4 帯4
作家 橘 玲

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
序章 p.7 17分
第1章 集中とトンネリング p.31 22分
第2章 処理能力への負荷 p.58 28分
第3章 荷づくりとスラック p.95 19分
第4章 専門知識 p.119 19分
第5章 借金と近視眼 p.142 17分
第6章 欠乏の罠 p.163 23分
第7章 貧困 p.192 17分
第8章 貧困者の生活改善 p.215 15分
第9章 組織における欠乏への対処 p.234 22分
第10章 日常生活の欠乏 p.261 22分
結論 p.288 8分

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