繰り返しイノベーションを起こせる企業と起こせない起業との違いは、リーダーシップにある。ハーバード・ビジネススクールの人気教授が、イノベーションを起こし続けるリーダーの条件を解説しています。
■イノベーションは1人の天才からは生まれない
イノベーションとは、新しくてなおかつ有益なものを創造する事だ。イノベーションというと、偶然の産物だとか、一握りの「クリエイティブな個人」達のブレインストーミングから生まれるものだと私達は考えがちだが、それは稀だ。実際には、イノベーションはもっと複雑な過程をたどる。過去30年間の研究によれば、イノベーションはほとんどの場合、集団によって生み出されている。
イノベーションに取り組む時の最大の課題は、メンバー全員からもたらされる多種多様な天才の一片を1つにまとめて、いかに統一された集合天才を生み出すかにある。革新的な企業が革新的であるゆえんは、これを繰り返し行えるところにある。
最終的にイノベーションの成否を左右するのは、どれだけ創造的な人材を見つけられるかではない。肝心なのは、才能そのものより、才能を生かせるかどうかだ。この難題こそが、イノベーションを導くリーダーの仕事になる。
イノベーションは計画的に生み出せるものでもなければ、部下に命じて生み出せるものでもない。しかしイノベーションのために組織を築く事はできる。イノベーションと導くとは、組織を築く事に他ならない。つまり、コラボレーションと、発見型の学習と、統合的な決定を通じて、個々の天才の一片を作り出せる組織を築く事だ。そのためには、リーダーは2つの課題と向き合わなくてはならない。
①労多いイノベーションに取り組もうとする意欲が引き出される場を作ること
イノベーションを成し遂げようという気持ちを起こさせるには、目的と価値観と参加規則によって結ばれたコミュニティーを築く事が必要になる。
②メンバーが労多いイノベーションに取り組める組織を築くこと
そのためには創造的な問題解決の土台となる3つの組織の能力「創造的な摩擦」「創造的な俊敏さ」「創造的な解決」を組織に持たせなくてはならない。
著者 リンダ・A・ヒル
ハーバード・ビジネススクール教授 リーダーシップと組織行動、eラーニングプログラムなどが専門。同校で必修のリーダーシップ講座の開発チームを率いたほか、数多くのエグゼクティブ講座のプログラム主任を務めた。 変革管理、組織間関係、グローバルな戦略遂行、イノベーション、人材管理、リーダーシップなどについて教鞭をとりつつ、GE、リード・エルゼビア、アクセンチュア、ファイザー、IBM、マスターカード、三菱商事、モルガン・スタンレー、アレバなど、世界的大企業のコンサルタントとしても活躍。 ステート・ストリート、クーパー・インダストリーズ、ハーバード・ビジネス・パブリッシングの取締役、リーダーシップ・クォータリー誌の編集委員のほか、多くの非営利団体の理事を務める。
著者 グレッグ・ブランドーマーケット・メディア社長兼最高執行責任者 元ウォルト・ディズニー・スタジオ最高技術責任者。1996年に技術担当役員としてピクサーに参画後、副社長に就任。一時、ピクサーを離れるも2004年に復帰、2006年には上級副社長に就任。その間、バイオ・ベンチャーやIT企業で重役も務めた。 マサチューセッツ工科大学で修士号 (電気工学) を取得後、アメリカ空軍に従事し、デューク大学フュークア校にてMBA取得。
著者 エミリー・トゥルーラブリサーチャー ハーバード・ビジネススクールで研究員を務めるなど、企業におけるリーダーシップ、イノベーション、組織変革を10年にわたり研究。世界各国の学会やビジネス誌で研究成果を発表している。
TOPPOINT |
帯 MITメディアラボ所長 伊藤 穰一 |
帯2 PIMCO元CEO モハメド・エラリアン |
帯3 IDEO 社長兼CEO ティム・ブラウン |
帯4 ハーバード・ビジネススクール教授 クレイトン・クリステンセン |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 6分 | |
第1章 イノベーションはひとりの天才からは生まれない | p.16 | 17分 | |
第2章 リーダーが直面する六つのパラドックス | p.37 | 21分 | |
第3章 従来のリーダーシップは通用しない | p.63 | 28分 | |
第 I 部 メンバーの意欲を引き出すリーダー | p.97 | 3分 | |
第4章 コミュニティーを築く | p.101 | 24分 | |
第5章 価値観と参加規則 | p.131 | 26分 | |
第 II 部 組織の能力を築くリーダー | p.163 | 3分 | |
第6章 創造的な摩擦 | p.167 | 31分 | |
第7章 創造的な敏速さ | p.205 | 25分 | |
第8章 創造的な決定 | p.236 | 25分 | |
第 III 部 未来を切り拓くリーダー | p.267 | 6分 | |
第9章 イノベーションの生態系を育てる | p.274 | 32分 | |
終 章 未来のイノベーションのリーダーはどこにいるか | p.313 | 26分 |