グーグルのマインドフルネス革命
グーグルでは2005年頃から、瞑想のワークショップを社内で小規模に開催するような動きがあった。その後、2007に「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」というグーグル独自のマインドフルネスプログラムが立ち上がり、本格的にマインドフルネスへの取り組みが始まった。今ではグーグル社員の5,000人以上(全社員の1/10)がマインドフルネスのトレーニングを受けるまでに至っている。
グーグルでは世界の33ヶ所のオフィスで毎日瞑想プログラムが実践されている。グーグル本社には瞑想するためのスペースが31ヶ所あり、社員は「ヘッドスペース」というスマートフォンのアプリを使って、日常的にも、瞑想に取り組んでいる。
グーグルがマインドフルネスを導入した理由は、個人と企業の両方にメリットがあると考えているからである。個人にとってのメリットは、自己を認識する力と自己を制御する力が身に付くこと。企業にとってのメリットは、自己認識と自己制御の力を持っている人は、そうでない人に比べて、仲間と一体感を持ち、調和の中で働く事ができるからである。
瞑想の取り組みを始める事によって、グーグル社員1人1人の心の状態や気持ちが変化した。そして、会社というコミュニティの中で、どのように自分自身を表現するか、といった事が変わった。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスの効果は、科学的な研究によって、様々な事が実証されてきている。
・慢性疼痛、喘息、糖尿病などの身体的な病状を改善する
・不安・不眠、恐怖症や摂食障害など、精神的に困難な状況を改善する
・学習や記憶、感情コントロールに関する脳の領域が活性化される
・思いやりや共感といった心理的な機能が向上する
・交感神経系を落ち着かせ、副交感神経系を活性化させる
・免疫システムの働きが向上する
マインドフルネスの実践法
マインドフルネスとは「瞬間、瞬間、今という時間に気づくこと。好奇心や親切な心、思いやりの気持ちに満ちているもの」と言え、「意識のスポットライト」を「今ここ」に当てる事である。その方法は次の通り。
①意識は明瞭にリラックスした状態で、椅子に座る
旗を思い浮かべ、背骨が旗の支柱、身体が旗のようなイメージを持つ
②自分の意識のスポットライトを身体に向ける
椅子の上にある自分の身体の重さに気づく
③目を閉じる
④身体に向けていた意識のスポットライトが、身体を離れてさまよう
⑤もう一度、意識のスポットライトを椅子の上の身体の物理的な感覚に戻す
⑥椅子に座っている間に起きるいろいろな感覚を観察してみる
⑦呼吸に意識を向け、ただ呼吸を観察する
⑧意識が呼吸を離れたら、もう一度、今この瞬間に意識を戻す