自分にイエスというための6つのステップ
①「自分の身になって」考える
交渉役として最も大切なスキルは「相手の身になって」考える能力である。相手の考えを変える第一歩は、何を考えているかを知る事だ。まずしなければならないのが、自分の願望と相手の願望を明確にする事だ。そのためには「自分の身になって」考える。自分の心の声に耳を傾け、自分が心から望むものは何かを突き止める。
②インナー・バトナを養う
交渉で最も力を発揮するのはバトナである。バトナとは、合意に達する事ができない場合に自分の利益を叶える最善の代替案である。交渉時には、合意を得るための外部代替案を作る以前に、心の中の代替案「インナー・バトナ」を養う事で、自分の内側から力を高める事ができる。相手の出方や動向に関係なく、たとえ何が起きようとも自分の心の奥底にある願望を叶えると無条件で自分自身に誓う事がインナー・バトナである。
③人生に対するイメージをリフレーミングする
人間には、敵対的な論争を協調的なやりとりにリフレーミングする能力が備わっている。戦いを転換する最良の方法は枠組み(フレーム)を変える事だ。外的状況をリフレーミングする能力は、まず自分の人生に対する内的イメージをリフレーミングする能力から養われる。方法は3つ。
・人生への結び付きを忘れない
・自分なりの幸せを作り出す力を忘れない
・人生がもたらしてくれる教訓に感謝する
④「ゾーン」にとどまる
緊迫した状況で相手にイエスと言わせる鍵となるのは、この瞬間という機会を見つける事だ。交渉の場で、片方が好機を示すシグナルを送っていたり、あるいは譲歩さえ示しているのに、もう一方が全く気付いていない事はよくある。この瞬間だけにすべての注意を集中させると、相手の言動に反応しなくなり、有望な機会を見逃す事なく、生来の創造性を発揮できる。「ゾーンに入る」秘訣は、心の中の抵抗を解き放ち、あるがままの過去を受け入れ、未来を信じ、現在を抱きしめる事である。
⑤どんな相手でも尊重する
最低限のコストで最大の成果を生み出す譲歩は、相手を尊重する事だ。尊重とは、肯定的な心遣いをみせ、自分がそうされたいように相手に品格のある接し方をするという意味である。そのためには、相手の要求にではなく、基本的な人間性にイエスと言う。自分なりの幸せを作り出す力に自信があれば、相手の攻撃的な振る舞いにそれほど反応しなくなる。
⑥与え合う
誰もが満足できるウィン-ウィン−ウィンの解決策を見出す鍵は、ゲームを「奪う」から「与える」へ転換する事にある。与えるとは、自分だけでなく他者にも価値を創り出すという事だ。双方の価値を創造し、パイを拡張する道を模索する事で、よりよい合意に達する。