自動運転車、人工知能など、近年次々に技術の飛躍的進歩が起きている要因を説明し、それがもたらす影響について論じている本。
■セカンド・マシン・エイジ
人類は数千年の間、人口も社会開発指数もごくわずかずつしか増えておらず、その増え方は目に見えないほどだった。ところが、18世紀後半の産業革命によって、人口も社会開発指数のグラフも、ほとんど直角に傾きが変わった。産業革命による技術の発展は人類の進歩に急激かつ持続的な飛躍をもたらした。産業革命は、人類の歴史において「第一機械時代」の扉を開いた。
そして今人類は「第二機械時代」を迎えている。コンピュータをはじめとするデジタル機器は「目的に向けて環境を制御する頭脳の能力」を発揮する。かつて蒸気機関が肉体労働において実現した事を、知的労働において実現すると言える。この新しいマシン・エイジが人類史のグラフにもたらす変化は、極めて大きい。
自動運転車、クイズ王を破るスーパーコンピュータ、様々なお役立ちロボット。これらはすべて、ここ数年の間に出現した。それも現実の過酷な条件や不安定な状況で能力を発揮してみせた。こうした事から、人類は変曲点に差し掛かっている。デジタル技術は長い間ぐずぐずしていた末に、突如として飛躍的進歩を遂げた。そして、これは今後起こる事の予兆に過ぎない。私達は、セカンド・マシン・エイジの夜明けを迎えている。
今、人類は変曲点に差し掛かっている。この変化の始まりは、産業革命に劣らず劇的なものになるだろう。指数関数的な高性能化、デジタル化、組み合わせ型イノベーションを特徴とする新しい技術がもたらす豊かな実りは、その大半がこれから収穫される。この先24ヶ月の間に地球上に追加されるコンピュータの能力は、既存の能力の合計を上回る。そして今後24年の間には、1000倍以上の能力が追加される。
現世代は、歴史上最も驚異的な2つの出来事に立ち会う幸運に恵まれる。1つは真のマシン・インテリジェンスが生まれること。もう1つはデジタルネットワークを介して地球上のすべての人々が結ばれることだ。どちらも経済のあり方を大きく変える事になるだろう。
とは言え、明るいニュースばかりではない。テクノロジーが豊かさをもたらす一方で,格差も拡がっている。高度化する一方の技術が引き起こす負の影響は、格差拡大にとどまらない。今や経済以外の面でも深刻な問題を心配しなければならない。テクノロジーが意図せず引き起こす予想外の重大な副作用である。例えば、大規模災害、人類の存続を脅かすような物体や生命体の生成、自由の抑圧といった事が考えられる。セカンド・マシン・エイジが進行するにつれて、こうした脅威は高まる。その一方で、物質的なニーズや欲望を満たす事の方は、相対的に重要ではなくなっていくだろう。
MITスローン・スクール経済学教授 デジタル・ビジネス・センターのディレクター。スローン・マネジメント・レビュー誌編集長。
著者 アンドリュー・マカフィーMITスローン・スクール、デジタル・ビジネス・センター主任リサーチサイエンティスト。
TOPPOINT |
日経ビジネス |
帯 グーグル チーフ・エコノミスト ハル・バリアン |
週刊東洋経済 2015年 9/5号[雑誌] BNPパリバ証券経済調査本部長 河野 龍太郎 |
週刊ダイヤモンド 2015年 9/12 号 [雑誌] 丸善・ジュンク堂書店営業本部 宮野 源太郎 |
エコノミスト 2015年 9/15 号 [雑誌] 慶應義塾大学教授 池尾 和人 |
週刊ダイヤモンド 2015年 10/10 号 [雑誌] 早稲田大学ビジネススクール教授 平野 雅章 |
日本経済新聞 富士通総研経済研究所 主任研究員 湯川 抗 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 人類の歴史の物語 | p.17 | 12分 | |
第2章 機械とスキル | p.35 | 26分 | |
第3章 ムーアの法則とチェス盤の残り半分 | p.75 | 17分 | |
第4章 デジタル化の大波 | p.101 | 14分 | |
第5章 組み合わせ型イノベーション | p.123 | 18分 | |
第6章 人工知能とデジタル・ネットワーク | p.151 | 8分 | |
第7章 セカンド・マシン・エイジのゆたかさ | p.163 | 10分 | |
第8章 GDPの限界 | p.179 | 19分 | |
第9章 セカンド・マシン・エイジの格差 | p.209 | 22分 | |
第10章 最強の勝ち組はスーパースター | p.243 | 17分 | |
第11章 ゆたかさと格差は何をもたらすか | p.269 | 22分 | |
第12章 個人への提言 | p.303 | 18分 | |
第13章 政策提言 | p.331 | 23分 | |
第14章 長期的な提言 | p.367 | 19分 | |
第15章 テクノロジーと未来 | p.397 | 10分 |
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