スマートフォンから家電、住宅、自動車、信号機や監視カメラまで、あらゆるデバイスがネットにつながるIoTの時代がやってくる。IoTの事例や可能性について紹介しながら、IoT時代に考えるべきことを提示しています。
■IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」とも呼ばれる。身の回りにあるものにセンサーと通信機が組み込まれて、直接インターネットに接続し、もの同士、ものと人が相互に通信できるようになる仕組みである。携帯電話やタブレット端末から、家電、住宅、自動車、建設機械や農業機械、信号機や監視カメラまで、社会のありとあらゆるものがネットにつながり、「知能」を駆使する時代が目前に迫っている。
様々なものにつながって膨大な情報が集められ、そのビッグデータを自動的に分析し、ものや人にフィードバックされて、生産性や正確性、経済的利益が向上する。この一連のプロセスにIoTの真価がある。
■セキュリティの十戒
IoTの可能性を最大限に引き出すためには、セキュリティが重要となる。インターネットもセキュリティが整った事で、ビジネスに活用できるようになり、大きな力を獲得した。IoTではユーザーだけでなく、多くの「モノ」が結ばれる。機能が高まり、より多くの事ができるようになる分だけ、セキュリティも強化する必要がある。IoTを成功の糧とするには、次の「十戒」を身に付けておくべきである。
①コンフィデンシャリティ
許可された者だけが情報にアクセスできる状態を守る
②インテグリティ
情報が破壊されたり改ざんされないように守る
③アベイラビリティ
システムが正しく稼働して情報にアクセスできる状態を守る
④オーセンティケーション
権利の保有を確認して情報へのアクセスなどを認める
⑤オーソライゼーション
利用者の権限を確認して適切な許可を出す
⑥アカウンタビリティ
システム上の出来事を正しく記録して責任を果たせる状態を守る
⑦ノン リピュディエーション
システム上の行為を後で否認されないように証明する
⑧プライバシー
収集、保存、処理などを行った個人情報を守る
⑨ダイバーシティ
あらゆる脅威から破綻を防ぐ多様性を備える
⑩レジリエンス
脅威によって受けたダメージから回復する能力を持つ
著者 齋藤ウィリアム浩幸
1971年生まれ。インテカー代表取締役 起業家 ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。 高校時代にI/Oソフトウェアを設立。テレビ会議システムなどで失敗したあと、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年、会社をマイクロソフトに売却。 日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。ドバイなど世界3カ所にオフィスをもち、有望なスタートアップ企業14社を育成している。 1998年にアーンスト・ヤング主催のアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー米国大会でヤング起業家賞を受賞。2012年に国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の最高技術責任者と国家戦略会議フロンティア分科会「繁栄のフロンティア」分科会委員を務める。
日経ビジネス |
帯 脳科学者 茂木 健一郎 |
週刊東洋経済 2016年 1/16号[雑誌] スクウェイブ代表取締役社長 黒須 豊 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ 日本の最大のチャンスにして、最大のリスク | p.1 | 3分 | |
第1章 IoTとは何か――あなたの身近なモノでIoTを定義する | p.13 | 10分 | |
第2章 IoTはすでにここまで増殖している | p.29 | 17分 | |
第3章 セキュリティ暗黒地帯からの脱却 | p.57 | 17分 | |
第4章今、IоTに必要な「セキュリティの十戒」 | p.85 | 24分 | |
第5章 日本企業のチャンスはどこにあるか | p.125 | 27分 | |
第6章 IоT時代の日本のリーダーシップへの警告 | p.169 | 11分 | |
おわりに | p.187 | 2分 |
モノのインターネット、Internet of Thingsの略。様々な「モノ(物)」がインターネット…