資本主義の14の欠点
③何十億人もの労働者に生活賃金を支払う事ができない。
資本主義のもとで企業を経営する目的は、投資家に優れたリターンをもたらす利益を上げる事だ。従って、企業は常にコストを低く抑えておく必要がある。仮に労働力が過剰供給されれば、可能な限り賃金を安くしようとし、それが生活賃金になるかどうかは気にしない。
④自動化の進展に直面し、人間の仕事を十分に確保できなさそうである。
テクノロジーが数多くの仕事を消滅させる事は間違いない。オートメーションの著しい進展を特徴とする未来が訪れた時、資本主義は人間の仕事を十分に生み出す事ができているだろうか。
⑤企業活動による社会的費用の一部しか彼らに負担させない。
大気汚染や水質汚染などの負の外部効果が、社会的費用となる。企業は社会的外部費用の支払いを逃れる事で、本来必要な製品価格よりも低く価格設定し、よりも多くを生産する。
⑥規制がなければ環境および天然資源を搾取する。
環境を守りながら商業上のニーズを満たそうとすると、様々なトレードオフが生じる。
⑦景気循環を生み出し、経済を不安定にする。
景気循環は、資本主義市場経済に本質的に備わっている特徴である。さらにグローバル化とテクノロジーが、世界経済にかつてないレベルの連動する脆弱性を生み出した。
⑧個人主義と利己心を重視するため、共同体と共有資源を犠牲にする。
資本主義は、個人主義および個人への見返りという考え方に深く根ざした経済システムである。
⑨消費者に多額の借金を促し、結果的に製造業主導型経済から金融主導型経済へとシフトさせる。
1970年から現在までの消費者支出とGDPの伸びをもたらしたのは、労働による可処分所得の増加ではない。消費者信用や各種個人ローンの作用であった。
⑩政治家と企業を一致団結させ、彼らの利益のために大多数の市民の経済的利益を犠牲にする。
富を握る1%の国民は、国の政策と方向性について大きすぎる影響力を持っている。
⑪長期的な投資計画よりも短期的な利益計画にくみする。
現在のCEOの報酬制度は、企業が短期的業績に過度に執着する傾向を大いに強めている。
⑫製品の品質や安全性、広告の真実性、反競争的な行為に対する規制を必要とする。
いかなる製品であろうと、たとえ健康に悪いものや危険なものでさえも、製造を禁止する法律はほとんど存在しない。
⑬GDPの成長だけを重視しがちになる。
すべての企業が事業規模を2倍に拡大する事を目標とし、それに成功したら、持続可能性は実現不可能になる。
⑭市場の方程式に社会的価値と幸福を持ち込む必要性がある。
我々は、経済成長が幸福度に与える影響と、それが生活の快適度に与える影響とを、それぞれ分けて考えるべきだ。