年間700冊超の本を読む書評家が、速く本を読むための考え方とテクニックを紹介している一冊。本を読むのに時間がかかるのは、読書のとらえ方の問題であると説き、情報洪水の時代に適した読書法を紹介しています。
■本は熟読しなくていい
大半の人は、本を1回読んだくらいで内容を完璧に記憶するなんてできない。いくら熟読しても、実際には忘れている事の方が多い。読むスピードと理解度・記憶は全く比例しない。
「頭に入ってこない事の方が多い」という事は、裏を返せば「忘れていないものの中に自分にとって大切な部分が凝縮されている」という事である。本から得られる価値のすべては、頭の片隅に残った一節に出会えた事にある。つまり、読書の本当の価値は、書かれている事の「100%を写しとる」事ではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」事にある。
遅読家というのは、読書に対する「真面目さ」を捨て切れない人の事である。それは能力の有無ではなく、読書のとらえ方に由来する。大切なのは、その本を読んだ結果として、知識や発見のひとかけらが頭の中に残ること。「全部残さず取り込んでやろう」と欲張らない事である。
すべてを頭に叩き込む事を前提とした読書ほどムダなものはない。熟読して覚えたつもりになっている多くは、時間の経過と共に記憶から消え去っていく。
読書の本当の価値は、書かれている事の「100%を写し取る」事ではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」事にある。
「熟読の呪縛」から抜け出すこと。「全部残さず取り込んでやろう」と欲張らないこと。ささっとその本を自分の頭の中に「流し込む」事が重要である。
■読み飛ばしていい3つの目印
本を読み飛ばして速く読む際に重要なポイントは、小見出しを見て「読むべきパートであるか否か」を判断するだけである。読み飛ばしていい基本的な目印は次の3つ。
①商品差別化のために挿入された「著者の自分語り」
②理論や主張を裏付ける「個別の事例・体験談」
③期待・危機を煽る「過剰すぎる表現」
■読書スピードを高める4つのステップ
①「はじめに・目次」をよく読む
②最初と最後の5行だけ読む
③キーワードを決めて読む
④2つ以上の読書リズムで読む
著者 印南 敦史
1962年生まれ。書評家、フリーランスライター、編集者 株式会社アンビエンス代表取締役 広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。 「LifeHacker[日本版]」「NewsWeek日本版」「Suzie」「WANI BOOKOUT」などで書評欄を担当。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
日経ビジネスアソシエ2016年6月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに なぜ「1ページ5分」の遅読家が年700本の書評家になれたのか? | p.3 | 4分 | |
第1章 なぜ読むのが遅いのか? ─ フロー・リーディングの考え方 | p.27 | 8分 | |
第2章 なぜ読む時間がないのか? ─ 月20冊の読書習慣をつくる方法 | p.49 | 7分 | |
第3章 なぜ読んでも忘れるのか? ─ 読書体験をストックする極意 | p.69 | 14分 | |
第4章 流し読みにもルールがある ─ 要点を逃さない「サーチ読書法」 | p.107 | 15分 | |
第5章 本とどう出会い、どう別れるか? ─ 700冊の選書・管理術 | p.147 | 16分 | |
終 章 多読家になって見えてきたこと | p.189 | 4分 | |
おわりに 10年後には「7000冊の世界」が待っている | p.201 | 1分 |
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読書とは、価値を感じられるような「1%に出会う」こと。
2016-06-14
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