生命は火星で誕生し、その後、地球環境の劇的な変化が、幾度もの大量絶滅とそれに続く進化を加速させたとする生命史。現在わかっている科学的な根拠をもとに、生命の誕生の謎と進化の歴史を解説している一冊。
■地球の誕生
生命が居住可能な惑星はいくつもあるとしても、現在の地球にいる動物や高等植物のような複雑な生物が進化するには、様々な条件が必要になるという点は決して軽視できない。仮に宇宙に微生物が溢れているとしても、地球の動物のような生物を生むほどの進化が起きる条件を備え、環境の安定した時代が長く続くような惑星は稀である。
地球は誕生してから45億6700万年の間に大きく姿を変えてきた。生命を全く維持できない期間も何度かあったし、動物や高等植物のような複雑な生命が誕生し得なかった時間が歴史の大半を占める。地球上には44億年前から水が存在していた事が確認されている。当時は太陽の活動が今よりはるかに弱かったとはいえ、大気中には十分な量の温室効果ガスが含まれていたので地球が冷える事はなかった。太陽の熱より重要だったのは火山である。火山活動は現在より10倍活発だったと見られている。そのため、最初の10億年間よりはるかに低い温度になるまで、地球は生命を育める環境になかったと指摘される。
地球の生命を形づくる分子の内、大切なのは液体の水である。生体内に見つかる分子の数は多いが、主なものは4種類しかない。脂質、炭水化物、核酸、タンパク質である。すべて液体に浸っているか、壁となって他の分子と水を囲っているかのどちらかだ。
地球に生命をもたらすために必要なものには4つの段階がある。
①アミノ酸やヌクレオチドのような小型の有機分子が生成・集積する。DNAやRNAの背骨部分をつくるリン酸塩も蓄積する事も重要である。
②これらの小型分子がつながり、タンパク質や核酸のような大型分子になる。
③タンパク質と核酸が集まって小滴になり、それが周囲の環境とは異なる化学的性質を帯びる。これが細胞の形成である。
④大型で複雑な分子を複製する能力を獲得し、遺伝の仕組みを確立する。
これらの条件を満たす環境は、最初に生命が誕生した34億年前の地球にはなく、生命は、火星から隕石に載ってやって来たという仮説が唱えられている。
著者 ピーター・ウォード
ワシントン大学 生物学教授 生物学教授にして、地球科学および宇宙科学の教授。数多くのドキュメンタリー番組にも出演。
著者 ジョゼフ・カーシュヴィンクカリフォルニア工科大学教授 「スノーボールアース」を発見したことで知られる。また、動物がナビゲーションに使用する微小な磁性物質を発見し、生物の進化を促した地球の自転軸の大規模な移動についても指摘した。
日本経済新聞 東京大学教授 須藤 靖 |
エコノミスト 2016年 2/9 号 [雑誌] |
週刊ダイヤモンド 2016年 4/9 号 [雑誌] (踊る米大統領選) 東京大学教授 玉井 克哉 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.7 | 8分 | |
第1章 時を読む | p.16 | 7分 | |
第2章 地球の誕生──四六億年前〜四五億年前 | p.23 | 15分 | |
第3章 生と死、そしてその中間に位置するもの | p.39 | 17分 | |
第4章 生命はどこでどのように生まれたのか──42億(?)年前〜35億年前 | p.57 | 24分 | |
第5章 酸素の登場──35億年前〜20億年前 | p.83 | 24分 | |
第6章 動物出現までの退屈な10億年──20億年前〜10億年前 | p.109 | 10分 | |
第7章 凍りついた地球と動物の進化──8億5000万年前〜6億3500万年前 | p.120 | 21分 | |
第8章 カンブリア爆発と真の極移動──6億年前〜5億年前 | p.142 | 29分 | |
第9章 オルドビス紀とデボン紀における動物の発展──5億年前〜3億6000万年前 | p.173 | 18分 | |
第10章 生物の陸上進出──4億7500万年前〜3億年前 | p.192 | 24分 | |
第11章 節足動物の時代──3億5000万年前〜3億年前 | p.218 | 24分 | |
第12章 大絶滅──酸素欠乏と硫化水素──2億5200万年前〜2億5000年前 | p.242 | 16分 | |
第13章 三畳紀爆発──2億5200万年前〜2億年前 | p.259 | 22分 | |
第14章 低酸素世界における恐竜の覇権──2億3000万年前〜1億8000万年前 | p.282 | 36分 | |
第15章 温室化した海──2億年前〜6500万年前 | p.320 | 18分 | |
第16章 恐竜の死──6500万年前 | p.339 | 13分 | |
第17章 ようやく訪れた第三の哺乳類時代──6500万年前〜5000万年前 | p.353 | 14分 | |
第18章 鳥類の時代──5000万年前〜250万年前 | p.368 | 9分 | |
第19章 人類と10度目の絶滅──250万年前〜現在 | p.378 | 18分 | |
第20章 地球生命の把握可能な未来 | p.397 | 12分 |
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