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2016/05/05更新

生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学

526分

5P

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生命はどこで生まれたのか

地球最古の生命は、少なくとも34億円前に存在した事が古い化石から示されている。この生命は、現在の地球に生きているある種の細菌と同じだ。これらは海に住んでいて、生きるために硫黄を必要とし、ごくわずかな酸素に触れただけでもすぐに死んでしまったと見られている。この化石生物が生きている環境は、現代よりも気温が大幅に高く、空気はメタン、二酸化炭素、アンモニアという有毒ガスでできていて、硫化水素も含まれていた。その頃は陸地らしい陸地もなく、そうした条件下でその後何十億年も繁栄を続けた。

海底の熱水噴出孔とその周辺は、生命誕生の候補地として今なお支持を集めている。最古の生物は、今も熱水噴出孔で見つかるような生物の一種である。生命を生むための化学物質とエネルギーもすべて噴出孔に存在していた。しかも噴出孔は、初期の地球に何十億年もの間降り注いだ小惑星の破壊から守られていた。ところが、この仮説には大きな障害があった。

生命誕生において、一番難しいのはRNAをつくる段階である。複雑で大型の分子であるため、非常に壊れやすいからである。RNAの生成は、熱水孔のような高温のもとでは非常に不安定になる。最も古い系統の細菌は65℃の環境で生まれた事がわかる。これは数百℃にもなる熱水噴出孔よりははるかに温度が低い。65℃になるような場所は、今の地球はもちろん37億年前の地球であってもほとんど見当たらない。砂漠を除いては。

生命が誕生したとされる初期の地球はほぼ全球が海に覆われていた。水に満ちた世界は生命に不可欠なリボースの形成に適さない。約35億年前までの地球には、生命の誕生に都合のいい場所はおそらくなかっただろう。こうした事から、生命は40億年あまり前に火星で誕生し、その生命が隕石に載って地球にやって来たと唱えられている。火星初期には生命が誕生する原材料が揃っていた。

実験の結果、複雑な有機分子はもちろん、休眠期にある微生物であっても、隕石が火星の表面から地球へと移動しても熱で殺菌される事がなく、運び得る事が明確に示されている。45億年前から現在までに、10億トンを超える火星の岩石が地球に飛来した。だとすれば、生命がまず火星で生まれ、それから隕石に載って地球にやって来た可能性は検討に値する重要なものといえる。

生命の起源が火星にあるという説を裏付ける1つの証拠がある。RNAが適切に機能するためには、ある程度の長さが必要だが、その長いRNA鎖を得るのは難しい。実験ではばらばらのヌクレオチドを含んだ希釈溶液を凍らせたところ、氷の結晶の縁に沿って多数が結合される事が確認された。当時の地球に氷はない。しかし、火星なら現在と同様に極に大量の氷があったはずだ。