なぜ、我々は世の中を理不尽だと思うのか。世の中と頭の中の非対称性に着目し、人が理不尽を感じる仕組みを論理的に解説している一冊。
■理不尽なのは「世の中」なのではなく「私たちの頭の中」である
私たち人間は身の回りの事象を法則やルールで表現する事で賢くなってきた。そのような世の中を支配する一般的な法則が「理」であり、逆に「理不尽である」というのは、そのような一般的な法則や「あるべき姿」と反している事象を指している。つまり、「理にかなっている」状態(あるべき姿)と実態とのギャップが理不尽の根源にある。
このようなギャップを目にした場合、多くの人は「世の中」の方が間違っているという前提で考え始める。しかし、人間の中で私たちが勝手に信じている「理」は単なる思い込みである事が多く、実はその事に気づいていない事が多くの「理不尽さ」の原因になっている。
理不尽の元凶は私たちが「本来同等でないものを同等だと思い込んでいること」(に気づいていないこと)から来ている。
理不尽なのは「世の中」なのではなく「私たちの頭の中」である。
著者 細谷功
1964年生まれ。クニエ マネージングディレクター 東芝で8年間エンジニアとして働いたのち退職。アーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティング→クニエの前身)に入社。 製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業、生産等の領域の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定量化、プロジェクト管理、ERP等のシステム導入およびM&A後の企業統合等を手がけている。
週刊東洋経済 2016年3/19号 [特集:キレる老人] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.1 | 4分 | |
第1章 錯覚の積み重ねと「三つの非対称性」―「善と悪」は対称か | p.17 | 3分 | |
第2章 「知識」の非対称性、「思考」の非対称性―知的能力が理不尽さを生みだす | p.22 | 2分 | |
第3章 「具体と抽象」の非対称性―お金で上下関係が生まれるのはなぜか | p.26 | 5分 | |
第4章 「言葉」という幻想―「わかっているつもり」を二円図で表す | p.35 | 3分 | |
第5章 「人間心理」の非対称性―水は低きに流れる | p.40 | 2分 | |
第6章 1:9の「ねじれの法則」―「教えられること」と「求められること」は違う | p.43 | 4分 | |
第7章 気づきにくい社会や心の不可逆性―湯は冷め、振り子は止まる | p.51 | 2分 | |
第8章 社会・会社の劣化の法則―「盛者必衰」の真理からは逃れられない | p.54 | 4分 | |
第9章 具体化・細分化の法則―高度化すれば視野が狭くなる | p.60 | 2分 | |
第10章 上流・下流の法則―不毛な議論に費やされる膨大な時間 | p.63 | 5分 | |
第11章 「微分と積分」と現実―増やすのは簡単、減らすのは困難 | p.73 | 2分 | |
第12章 のこぎりの法則―増えだしたら止まらない | p.77 | 4分 | |
第13章 折り曲げの法則とストックのジレンマ―「対極」は「紙一重」に変わる | p.83 | 4分 | |
第14章 大企業「病」という幻想―もう「あの時代」には戻れない | p.89 | 4分 | |
第15章 宇宙と「人間の心」―「絶対的中心」があるかないか | p.97 | 4分 | |
第16章 コミュニケーションという幻想―「言葉の意味」の共有は難しい | p.103 | 3分 | |
第17章 「公平」という幻想―基準は人間の数だけ存在する | p.108 | 3分 | |
第18章 「対等」という幻想―批判する人とされる人の間に横たわるものは | p.113 | 2分 | |
第19章 決定的な非対称性―「見えていない人」には「見えている人」が見えない | p.119 | 6分 | |
第20章 「全体像」という幻想―自分の視野の狭さには気づきようがない | p.129 | 3分 | |
第21章 「経験則」という幻想―自分の経験が「部分」であることに気づけない | p.134 | 3分 | |
第22章 「啓蒙」という幻想―教育は無力なのか | p.139 | 5分 |