ビル・ゲイツ、アンディ・グローブ、スティーブ・ジョブズの3人に共通する戦略ルールを分析している本。優れた戦略家に必要な要件とは何かを紹介しています。
■5つの戦略ルール
グローブ、ゲイツ、ジョブズの3人には、企業リーダーとしての共通するフレームワークが隠されている。但し、3人に共通する戦略と実行に関するアプローチは、同時期にすべて顕在化していた訳ではない。また、3人のキャリアのそれぞれ同じ時期に見られた訳でもない。それらは何度もの試行錯誤を通じて、3人のキャリアの中に生じた。
①未来のビジョンを描き、逆算して今何をすべきかを導き出す
②会社を危険にさらすことなく、大きな賭けをする
③製品だけでなく、プラットフォームとエコシステムを構築する
④パワーとレバレッジを活用する
⑤個人的な強みを核にして組織をつくる
グローブ、ゲイツ、ジョブズは、自らの会社にこれらのルールを適用する事により、最高の結果を出した。
■5つの戦略ルール
①未来のビジョンを描き、逆算して今何をすべきかを導き出す
未来を見る事は重要だが、それははじまりに過ぎない。ゲイツ、グローブ、ジョブズは未来を見た後に、次の重要な手を打つのを忘れなかった。すなわち、長期的な展望から逆算して、今取るべき行動を導き出した。
②会社を危険にさらすことなく、大きな賭けをする
ゲイツ、グローブ、ジョブズは、小さな賭けで大きく勝つ事はできないと理解していた。そして楽な勝負を選ばず、フルスイングしてホームランを狙った。例えば、業界リーダーと対決したり、業界の基準を覆そうとしたり、全く新しい製品カテゴリをつくりだそうとした。だが、彼らは会社を倒産の危機にさらすような危険な賭けはしなかった。
③製品だけでなく、プラットフォームとエコシステムを構築する
3人は、単なる製品の開発だけでなく、プラットフォームの構築とコントロールにもエネルギーを注いだ。サードパーティーの技術革新を促し、補完的な製品やサービスのエコシステムをサポートするためだ。
④パワーとレバレッジを活用する
彼らは力に物を言わせて、法的措置から取引先の囲い込み、金に糸目をつけない戦法などを臆する事なく使った。一方、パワーだけではなく、賢さやスピードをてこのように活用した。敵のレーダーに映らないように身を潜めたり、勝負の機が熟すまで競合他社と平和的な関係を築いたりした。
⑤個人的な強みを核にして組織をつくる
ゲイツ、グローブ、ジョブズは、自らの特徴を反映する組織や戦略実行能力を構築した。すなわち、それぞれの情熱や強みが、会社の戦略方針や独自のコンピテンシー、企業文化に大きな影響を与えた。
著者 デイビッド・ヨッフィー
ハーバード・ビジネス・スクール国際経営管理部門教授 1987年にアンディ・グローブと会い、1989年以来、長年インテルの取締役を務めた。インテル、マイクロソフト、アップルを題材にしたハーバードビジネススクール向けの事例研究を40本以上執筆。ベストセラーとなったクスマノとの著者『食うか食われるか ネットスケープvs.マイクロソフト』をはじめとする多くの編著書がある。 ニューヨーク・タイムズやウォールストリートジャーナル、ハーバード・ビジネス・レビューなどにも旺盛に記事を寄稿している。
著者 マイケル・クスマノマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院、MITエンジニアリング・システム学科名誉教授 2016年 東京理科大学特任副学長 1985年からソフトウェアビジネスの研究をはじめる。ベストセラーとなった『マイクロソフト シークレット』をはじめとして、『プラットフォーム・リーダーシップ』、『ソフトウエア企業の競争戦略』、ヨフィーとの共著『食うか食われるか ネットスケープvs.マイクロソフト』など、12冊の編著書がある。 前著『君臨する企業の「6つの法則」』は、「ストラテジー+ビジネス」誌の2011年のトップビジネス書に選出された。
帯 イントゥイット会長 スコット・クック |
帯2 グリーンキャピタルCEO リード・ハント |
帯3 Apple元CEO ジョン・スカリー |
帯4 BP元CEO ジョン・ブラウン |
日本経済新聞 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
戦略の達人はいかにしてつくられたか | p.17 | 21分 | |
第1章 未来のビジョンを描き、逆算して今何をすべきかを導き出す | p.53 | 37分 | |
第2章 会社を危険にさらすことなく、大きな賭けをする | p.113 | 32分 | |
第3章 製品だけではなく、プラットフォームとエコシステムを構築する | p.165 | 42分 | |
第4章 パワーとレバレッジを活用する――柔道と相撲の戦術 | p.233 | 38分 | |
第5章 個人的な強みを核にして組織をつくる | p.295 | 38分 | |
終 章 次世代への教訓 | p.357 | 19分 |
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