ホンダの考え方、マネジメントについて紹介されている一冊。よく知られるトヨタと異なり、あまり知られていないホンダの経営手法が書かれています。
■「ものづくりのホンダ」の考え方
ホンダは社内のイノベーションと個人主義を第一に考え、何よりも優先させる。歴代のホンダ社長は技術系で、明文化されている訳ではないが、それが本田宗一郎以来変わる事のない伝統だ。エンジニアによる経営は、ホンダという会社の個性、とりわけエンジニアのものづくりに徹底的にこだわる姿勢と一致する。彼らは、設計、開発、戦略、または製造のどれについても、最初の選択肢に辿り着いたのと同じ調査分析と知的探究心で、別の選択肢を試し続け、個別に意思決定を行っていく。ホンダでは、同じ概念を繰り返し使って成功するより、一見確かなアイデアや知識を批判したりすること、つまり従来の常識を覆す事に価値が置かれる。
ホンダの企業文化は、宗一郎が度々口にした「成功は失敗と反省の繰り返しによってのみ達成できる。成功とは、失敗と呼ばれる99%の仕事から生まれる、残り1%の仕事だ」に表されている。
「ホンダ流」はオーソドックスなやり方ではない。大抵の場合、主要自動車メーカーを含む大規模製造業者の手法とは逆である。総じてトップダウンの指揮系統を持つライバル達と違って、ホンダは東洋由来の次のような根本原則に従っている。
・企業命令より個人の責任
・複雑さよりシンプルさ
・仮説や推定ではなく、観察、実証された事実に基づく意思決定
・浪費より必要最低限
・複雑な階層よりフラットな組織
・自立して臨機応変でありながら、常に互いに説明責任を果たす設計、開発、製造チーム
・絶え間ない変化
・正しいと信じられている事を徹底して疑う姿勢
・社員やサプライヤーにとって明確な目標と、その目標達成を助ける積極的なサポート
・社内で言う「イノベーションの不連続」を克服するための、過去の経験を自在に用いた現在との橋渡し
ホンダの文化的バックボーンをなすこういった戦略的思想の多くは、元々本田宗一郎が組織に取り入れたか、少なくとも承認していたものだ。ホンダはこれらに従う事によって、日本第二位の自動車メーカーにまで成長しながら、いまだに新興企業の柔軟性を維持している。
ジャーナリスト ジャーナリズム分野で数々の賞に輝いてきた。これまでにオンライン・ニュース・メディア「インターナショナル・ビジネス・タイム」や PCマガジンの編集長を務めたほか、タイム誌やビジネスウィーク誌の編集、 あるいはワシントンポスト紙の特派員など、広範な場で活躍。 その守備範囲は、リーダーシップからマネジメント、企業文化、 グローバリゼーションなどじつに多岐にわたる。
帯 グッゲンハイム・パートナーズ専務取締役 ジョン・カセサ |
帯3 作家 シビル・チョウドリ |
帯4 作家 キース・フェラッジ |
週刊エコノミスト 2016年05月17日号 [雑誌] |
THE21 2016年 08 月号 アサヒグループホールディングス 代表取締役会長兼CEO 泉谷 直木 |
帯2 フォーブス執筆者 レイ・クウォン |
日経ビジネス |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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1章 ホンダはどこがちがうのか | p.7 | 21分 | |
2章 オイルのにおい | p.37 | 33分 | |
3章 第一の原則 ー パラドックスを受け入れる | p.85 | 31分 | |
4章 第二の原則 ー 三現主義 | p.129 | 18分 | |
5章 第三の原則 ー 個性を尊重する | p.155 | 26分 | |
6章 ホンダならではの工場 | p.193 | 31分 | |
7章 ホンダのイノベーション・マシン | p.237 | 19分 | |
8章 革命的なサプライチェーン | p.265 | 21分 | |
9章 ローカルな多国籍企業 | p.295 | 22分 | |
10章 「製造業」宣言 | p.327 | 19分 |
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