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2016/05/23更新

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (ハヤカワ・ノンフィクション)

198分

2P

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ハーバード大学で人気の東洋哲学の講義

ハーバード大学で人気の東洋哲学の講義。孔子や孟子、老子といった中国の思想家たちの考え方を紹介しながら、西洋哲学とは違った観点から、より良い人生の生き方とは何かについて紹介する一冊。


■中国の思考家の考え方
西洋では幸福と繁栄のために計画を立てるとなると、理性に頼るよう教えられ、慎重に計算すれば解答に行き着けると誰もが信じている。人生の不確実さに直面しても、感情や偏見を乗り越え、自分の経験を測定可能なデータに落とし込めば、チャンスを自在に操ったり運命に逆らったりできると信じる事で安心を得る。しかし、自分は人生をこう生きていると頭で考えていても、それは実際の自分の生き様ではない。自分はこんな風に決断を下していると頭で考えていても、それは実際の自分の流儀ではない。

中国の思想家は、このようなやり方に限界があると気づき、別の方法を模索した。その答えは、本能を研ぎ澄まし、感情を鍛錬し、たえまない自己修養に励む事にあった。そうすれば、やがて、重大な局面であれ、ありふれた場面であれ、個々の具体的な状況に対して倫理にかなった正しい反応ができるようになると考えた。

超短要約

■ありのままの自分を受け入れるな
自己実現者の目標は、自己を見つける事であり、内なる真に従って自己の人生を「忠実に」生きる事だとされる。

これが危険なのは、誰もが自分の「真」の姿を見ればそれとわかるはずだと信じ、その真実に従って人生を規定してしまう事にある。自己を定義する事にこだわりすぎると、ごく狭い意味に限定した自己(自分で強み、弱み、得手、不得手だと思っていること)を基盤に未来を築いてしまう恐れがある。中国の思想家なら、これでは自分の可能性のほんの一部しか見ていない事になると言う。私達は、特定の時と場所であらわれる限られた感情だけをもって自分の特徴だと思い込み、それが死ぬまで変わらないものと考えてしまう。人間性を画一的なものと見なした途端、自分の可能性を自ら限定する事になる。

中国の思想家は、人は単一の均質な存在ではないし、そのように捉えるべきではないとする。どの人もみんな複雑で、たえず変化する存在である。いつでも積極的に自分自身をよりよい人間へと成長させる事ができる。中国の思想家が「道」と呼んだ概念は、自分の選択や行動や人間関係によって絶え間なく形づくっていく行路だ。私達は人生の一瞬一瞬で新たに道を生み出している。

著者 クリスティーン・グロス=ロー

ジャーナリスト ウォール・ストリート・ジャーナルやハフィントンポストなどに多数寄稿。ハーバード大学で東アジア史の博士号を取得している。

著者 マイケル・ピュエット

ハーバード大学 東アジア言語文明学科 中国史 教授 2006年より受け持つ学部授業の「古代中国の倫理学と政治理論」は「経済学入門」「コンピュータ科学入門」に次いで学内3位の履修者数を誇る。卓越した学部教育により、ハーバード・カレッジ・プロフェッサーシップを受賞。

この本を推薦しているメディア・人物

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土井 英司

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.17 3分
1 伝統から“解放された"時代 p.21 7分
2 世界じゅうで哲学が生まれた時代 p.32 5分
3 毎日少しずつ自分を変える―孔子と“礼"“仁" p.40 24分
4 心を耕して決断力を高める―孟子と“命" p.77 23分
5 強くなるために弱くなる―老子と“道" p.113 23分
6 まわりを引きつける人になる―『内業』と“精"“気"“神" p.149 16分
7 「自分中心」から脱却する―荘子と“物化" p.174 17分
8 「あるがまま」がよいとはかぎらない―荀子と“ことわり" p.200 15分
9 世界じゅうの思想が息を吹き返す時代 p.223 12分

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