「自分になる」ためのきっかけ
「自分になる」ためには大体において何らかのきっかけが必要になる。それは一瞬の衝撃かもしれないし、緩慢な変化かもしれない。だが多くの場合、それがどういうものであろうとも、出来事だけでは人はまだ動かない。ある時間をかけて、一種の隔離状態を作る必要がある。この休止の間に次の5つの道を辿れば「自分になる」事が見えてくる。
①人間の条件や自分が置かれた状況によって、あるいは他者によって、自分の人生にどのような制約が課せられているかを認識する。
②人には良い人生を送り、楽しい時を過ごす権利があり、そのために自分を大事にし、周囲からも大事にされるように努力するべきだと理解する。
③あえて孤独を受け入れる。愛する人や自分を愛してくれる人も含めて、他者に何も期待しない。むしろ孤独を幸福の源とする。
④人生は各人固有のものであり、凡庸に甘んじる事など運命づけられた人などいないし、誰もが固有の才能を持っているのだと理解する。また、人生は一度きりだが、その人生の途上でいくつもの人生を送る事は可能だと理解する。
⑤その上でようやく、自分を見いだし、人生を選び、自分を掌握する事ができるようになる。
「自分になる」ための5つのステップ
①疎外を認識する
自分を支配する力によって自分が本来あるべき本質的な姿を失っていること、即ち疎外を認識する。
②自分を大事にし、周囲からも大事にされる
自らを振り返り、自分は注意を払うに値すると思うこと、自分の人生は自分にとっても他者にとっても大切なものだと考える。自己の尊重があって初めて、生きる意欲がわいてくる。
③他者に何も期待しない
孤独を自覚すること、他者に何も期待しないとはどういう事かを学ぶ。例え、信仰があっても、人に囲まれ、愛されていても、私達が孤独である事に変わりはない。そう考えれば、あえて誰にも頼らず、自分一人でやってみようという勇気がわいてくる。
④唯一性を自覚する
人は一度しか生きられず、だとすればその人生は他の誰とも違う唯一のものとなるはずであり、またなるべきだと理解する。宇宙における唯一性について考えれば、人生の究極の目標は「甘受者=要求者」として生き延びる事ではなく、創造者として「よりよく生き抜く」事だと理解できるはずである。その事を本当に理解したら、ちゃぶ台をひっくり返す事もいつか可能になる。自分の成功失敗を人から押し付けられた価値基準で判断しないとか、自分にしかできない事もできるようになる。
⑤自分を見いだし、人生を選ぶ
失敗への恐れを克服し、行動につきものの迷いを受け入れたら、その時点で、自分には思っていた以上に生き方を選ぶ自由があると気づくだろう。しかも自由に年齢は関係ない。