IBMのプロジェクトマネジャーが、仕事を速くこなすためのワザを紹介している本。メールやExcelの効率的な使い方から、コミュニケーションの取り方、資料の作り方まで、すぐに使える仕事効率化のコツがまとめられています。
■仕事を速くする3原則
仕事の速さには3つの要素がある。
①速くやる
手の動きそのものの速さであったり、マウスを使わずにショートカットで操作をするなど、動きを速くする。
②ムダを省く
やらなくてもいい作業をしてしまったその時間はムダな時間である。どんな作業がムダかを見極め、そのムダを取り除けば、自ずと仕事が速くなる。
③確実にやる
やった事が間違っていたら、やり直さないといけない。速くやって間違うよりも、ゆっくりやって確実な方が最終的には速い。
「思考」こそは仕事の成果を左右する。どれだけ考えて仕事をするかが重要である。あらゆるスピードアップの技術の中で、最もできていない人が多く、それゆえ差がつくのが「思考」のプロセスである。
■憶測や意見と事実を分類する
最速で答えにたどり着くために「まず」必要な事は「正しい情報」をインプットする事である。インプットが間違っていると、結局、正しい事実を捉えるところからやり直さなければならなくなる。正しくインプットするには「憶測」「意見」「事実」を分類しながら聞く。
■「視点」「視野」「視座」を変える
ビジネスの世界では、簡単に事実を捉える事はできない。得た情報は既に誰かのバイアスがかかっている事もあるし、入手したデータが恣意的に加工されている場合もある。できるだけ事実に近づくには「視点(どこを見るか)」「視野(見る範囲)」「視座(見る立場)」を変える。
■「タテ」「ヨコ」の質問で本質にたどり着く
良い質問をする事で本質にたどり着く。良い質問をするには次の2つがポイントである。
①「何を知りたいのか」を明確にする
②「広がる質問」と「深堀する質問」を相手と共有する
■健全に疑う
間違いがあった事で振り出しに戻る事がないように、人の調査結果や報告について、健全に疑うようにする。ポイントは3つ。
①インプットデータは何か
②どのようなアプローチを取ったか
③アウトプットをどう評価しているか
■数字は「絶対数」だけで捉えない
数字には「絶対数」と「相対数」がある。この2つの視点を持って、数字の重みを理解する事が重要である。仕事では、より「相対的なインパクトが強い方」に力をかけるのが良い。比べる観点のポイントは3つ。
①「母数」と比べてどうか
②「他」と比べてどうか
③「以前」と比べてどうか
■ゼロから考えず「型」にはめて考える
思考のスピードが速い人は、ゼロから考えていない。「型」すなわちフレームワークを使っている。反対に思考が遅い人は、その思考の「型」を知らないので、思いつきでモグラ叩きのように考え、時間がかかる上に考慮モレが多く発生する。まず身につければいいのは、次の3つである。
①MECE(全体像を把握する)
②ピラミッド(構造化する)
③課題解決のフレームワーク
著者 木部 智之
日本IBMシニア・プロジェクト・マネージャー 2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネージャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。 現在もそのプロジェクトを担当しており、日本と大連で数百人のチームをリードしている。
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ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 仕事の速さは始める「前」に決まる | p.17 | 11分 | |
第2章 「作業のスピード」は習慣化で速くなる | p.43 | 30分 | |
第3章 「チームのスピード」は仕組みで速くなる | p.113 | 21分 | |
第4章 「ない時間」をひねり出す | p.163 | 10分 | |
第5章 「思考のスピード」は型で速くなる | p.187 | 15分 | |
おわりに | p.222 | 1分 |
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