長期投資家は「絶対価値」を見極める
「付加価値の薄い」投資家が高い長期パフォーマンスを出せるとしたら「周りに背を向けた行動をとる」しかない。株式市場はリーマンショックやギリシヤショックのように、時としてパニック状況に陥ることがある。パニック相場に陥った市場は長期投資家からすると、素晴らしい価値を持った会社が、とてつもなく安く買えるチャンスである。良い会社を安く買える時期こそが投資家の真価を問われる時期である。
周りに背を向けるには、何か「相当しっかりした拠り所」を持っていなければならない。この拠り所が「企業の絶対価値」という考え方である。長期投資家は、会社には「絶対価値」があると考えている。株価は1日で5〜10%も動くことがあるが、会社の本来的価値は頻繁に変わらない。長期投資を行うためには、この会社の本来的価値を見極めることが重要である。
長期投資家は「超過利潤」を生み出す強みに着目する
長期投資家は、ゼロからその事業を作り直すとしたら、いくら必要になるかを見積もった「再調達価格」を算定する。そして、これを上回る収益「超過利潤」を生み出せているかを見る。企業の中には、超過利潤を出し続ける会社がある。このような会社には、単に競合と比較して何かに秀でているというだけでなく、「障壁」と呼べるような高い水準の強みを持っている。この「競合障壁」という考え方を長期投資家は重視している。
持続的に価値が上がり続ける会社とは
持続的に企業価値が向上するメカニズムは『みさきの公理』によって定義される。みさきの公理では企業価値は3つの因子で決まると考える。
企業価値 =(事業×人)×^ 経営
①事業に障壁がなければ、持続的に価値が上がるはずがない
今現在、優位性や収益性が高いからといって長期投資しても良いというわけではない。その優位性が圧倒的な「障壁」になっている、ごく少数の企業を選んで投資しなければならない。そのためには以下の5つの切り口がある。
・リソース:特定の企業しか持っていない独特の資源があるか
・規模:規模がもたらすコスト優位があるか
・スイッチングコスト:他のサービスに切り替えるのが大変か
・習慣化:日常的に習慣化されているサービスか
・サーチコスト:代替品を探すのが大変なものか
②人が優れていなければ、価値は持続的に上がらない
優れた人を持っている会社は、たとえ一時的な業績不振に見舞われても必ず挽回してくる。
・経営者に「知的貪欲さ」「オープンマインド」「公の意識」があるか
・経営層に厚みがあるか
・企業文化は健全か
③経営の改善なくして、持続的に価値は上がらない
会社が有する強みには通常、一定の寿命がある。そのために経営スキルや手法、経営戦略が大切である。