TEDの代表である著者が、プレゼンのノウハウを紹介している一冊。いかにして、価値あるアイデアを見つけ、それを聞き手に伝えるかについて、これまでのTED登壇者から得た知見が書かれています。
■自分だけのストーリーを語る
講演者の一番の使命は、自分が心の底から大切にしている「何か」を取り出して、聞き手の心の中にそれをもう一度築き上げることだ。その「何か」を、アイデアと呼ぶ。人々が拠り所にし、持ち帰り、価値を見出し、ある意味で人生を変えられるような概念だ。
パブリックスピーキングで本当に大切なのは、自信でも、存在感でも、口のうまさでもない。「語る価値のある何か」を持っていることだ。世界の見方を変えてくれるものは何でも「アイデア」だ。人の心の中に説得力のあるアイデアを植え付けられたら、奇跡を起こしたことになる。
世界中であなただけにしかないものは、あなた自身の一人称の人生経験だ。最高のトークの多くは、個人的なストーリーとそこから引き出される教訓に基づくものだ。ストーリーの教訓はありきたりなものでも構わない。みんな人間だから、何度も教えてもらう必要がある。重要なアイデアを新鮮なストーリーで包んで、上手に伝えられたら、素晴らしいトークになる。
優れたトークにこれという一つの型はない。知識の世界はあまりに広く、登壇者も、観客も、話す環境も様々だ。一つの方程式を当てはめようとすれば、おそらく逆効果になる。聞き手はそれを見抜き、操られていると感じてしまう。
実際、一度うまくいった方程式があっても、いつまでもうまくいくとは限らない。なぜなら、新鮮さこそ、優れたトークの魅力だからだ。使い古しは好きではない。前にどこかで聞いたことのあるトークは心に残らない。
パブリックスピーキングで本当に大切なのは、自信でも、存在感でも、口のうまさでもない。「語る価値のある何か」を持っていることだ。
著者 クリス・アンダーソン
TED代表兼キュレーター 大学卒業後、ジャーナリストとして活躍。100以上の雑誌やウェブサイトを成功させたのち、2001年に非営利団体のTEDを買収した。 TEDの精神「広める価値のあるアイデア」を世界的に広めた。
日本経済新聞 日本リサーチ総合研究所主任研究員 藤原 裕之 |
日経ビジネスアソシエ2016年9月号 |
TOPPOINT |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
プロローグ | p.1 | 5分 | |
1 プレゼンテーション・リテラシー | p.14 | 8分 | |
2 アイデアを築く | p.26 | 9分 | |
3 よくある落とし穴 | p.40 | 6分 | |
4 スルーライン | p.50 | 13分 | |
5 つながる | p.70 | 14分 | |
6 ストーリーを語る | p.92 | 8分 | |
7 説明する | p.104 | 13分 | |
8 説得する | p.124 | 10分 | |
9 見せる | p.140 | 13分 | |
10 ビジュアル | p.160 | 14分 | |
11 原稿を書く | p.182 | 15分 | |
12 通し練習 | p.206 | 8分 | |
13 つかみと締め | p.218 | 18分 | |
14 服装 | p.246 | 4分 | |
15 メンタルの準備 | p.252 | 5分 | |
16 ステージの設定 | p.260 | 8分 | |
17 声と存在感 | p.272 | 9分 | |
18 フォーマット革命 | p.286 | 13分 | |
19 トーク革命 | p.306 | 9分 | |
20 なぜそれが重要か | p.320 | 8分 | |
21 次はあなたの番 | p.332 | 5分 |
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