理想的なリーダー像が描かれ、その教えが語られることが多い中で、現実のリーダーとは自己利益を追求する者がほとんどであると説く。理想を離れ、現実と向き合うことの必要性が説かれている一冊。
■リーダーシップが向上しない理由
リーダーシップを通じて集団や組織のパフォーマンスを向上させるための様々な処方箋が提案されている。リーダーは信頼を得よ、最後に頼れる人であれ、真実を語れ、人に尽くせ、控えめであれ、思いやりと理解と共感を示せ、等々である。どれも大変結構だが、効果のほどは疑わしい。リーダーシップ教育の数々のプログラムは、世間が思う以上に無益であり、むしろ有害である。
そもそも、リーダーシップが向上しない原因は、リーダー個人と会社の利益が一致しないからである。リーダーには、自己の利益を確保するために他人に強権を振るう誘惑がつきまとう。そしてリーダーは大体において、自分のキャリア形成と自己の利益を優先するものである。
組織の利益とリーダーの利益は一致することがリーダーシップという理念の大前提になっており、多くの人がそう信じている。だがそういうケースは滅多にない。高い報酬、高い地位にのぼりつめることこそが、リーダーにとって嬉しいはずだが、そうしたものは一切語られない。このことが、良きリーダーのためのプログラムや助言が現実の世界でほとんど効き目がない1つの理由である。
リーダーが自己利益の追求にかまけるようであれば、部下はどうするべきだろうか。それは、自分のことは自分で気をつけ、自分の利益は自分で守ることである。
働く環境を変え、リーダーの振る舞いを変えるためには、現実に基づいて行動する必要がある。組織の現実と向き合うためには次の6つがヒントとなる。
①「こうあるべきだ(規範)」と「こうである(事実)」を混同しない
②他人の言葉ではなく行動を見る
③時には悪いこともしなければならない、と知る
④普遍的なアドバイスを求めない
⑤物事を「白か黒か」で考えない
⑥許せども忘れない
著者 ジェフリー・フェファー
スタンフォード大学ビジネススクール教授 専門は組織行動学。1979年よりスタンフォード大学で教鞭をとる。これまで13冊の著作を持ち、ハーバード大学ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクール、IESEなどで客員教授や講師を務めている。
帯 |
日本経済新聞 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊エコノミスト 2016年08月23日号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 3分 | |
序 章 リーダー教育は、こうして失敗した | p.15 | 25分 | |
第1章 「リーダー神話」は、百害あって一利なし | p.57 | 22分 | |
第2章 謙虚―そもそも控えめなリーダーはいるのか? | p.95 | 17分 | |
第3章 自分らしさ―「本物のリーダー」への過信と誤解 | p.123 | 15分 | |
第4章 誠実―リーダーは真実を語るべきか? | p.149 | 21分 | |
第5章 信頼―上司を信じてよいものか | p.185 | 18分 | |
第6章 思いやり―リーダーは最後に食べる? | p.215 | 12分 | |
第7章 自分の身は自分で守れ | p.235 | 18分 | |
第8章 リーダー神話を捨て、真実に耐える | p.265 | 24分 |
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