成果を出す組織はどのように作ればいいのかをテーマとする中国古典『韓非子』を解説している一冊。2000年以上も前に書かれた現代にも通ずるマネジメントの方法論が紹介されています。
■『論語』と『韓非子』
「うまく機能する組織とはどのようなものか」という難問に対して、全く正反対の立場から解答を出そうとした2つの中国古典が『論語』と『韓非子』だ。共に中国の紀元前、戦乱が真っ盛りだった春秋戦国時代に著された。両者の考え方は対極に分かれる。
①人のあり方
論 語:人間、志が重要だ
韓非子:しょせん人間は利益に目がくらむ
②政治において重視するもの
論 語:上下の信用
韓非子:信用など当てにしていたら裏切られる
③上下関係
論 語:上司と部下は敬意を持った関係であるべき
韓非子:足を引っ張りあっているのが常態だ
④法やルールに対する態度
論 語:法やルールに頼るのはマズイ
韓非子:法やルールこそ統治の基本
『論語』
ひとまず人を信用してかからないと、よき組織など作れるはずがない。
『韓非子』
人は信用できないから、人を裏切らせない仕組みを作らないと、機能する組織など作れない
韓非は「人は信頼できない」という前提をもとに組織を作ろうとした。人は教育のいかんによらず、利己的にならざるを得ない状況では、人は利己的になってしまう。人の本性は「弱さ」にある。
ならば、逆にその性質を利用して、組織や国がまわるシステムを作ってしまえというのが韓非であった。韓非は、人は利害で動くというのを基本的な前提とする。人が本能をむき出しにしがちな「恩賞」「厳罰」「名誉」という三要素によって共通の価値観というレールを敷き、組織を1つにまとめようとした。この制度の有り様を法によるものとした。
著者 守屋 淳
1965年生まれ。作家、中国古典研究家 大手書店勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『老子』『荘子』『三国志』などの知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした、執筆や企業での研修・講演を行う。
帯 K.I.T.虎ノ門大学院主任教授 三谷 宏治 |
TOPPOINT |
PRESIDENT (プレジデント) 2016年10/31号「『超』ウケる言い方」[雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.3 | 7分 | |
第一章 人は成長できるし、堕落もする--「徳治」の光と影 | p.23 | 21分 | |
第二章 『韓非子』は性悪説ではなかった? | p.59 | 24分 | |
第三章 筋肉質の組織を作るための「法」 | p.101 | 14分 | |
第四章 二千年以上も歴史に先んじた「法」のノウハウ | p.125 | 18分 | |
第五章 「権力」は虎の爪 | p.157 | 14分 | |
第六章 暗闇のなかに隠れて家臣を操る「術」 | p.181 | 25分 | |
第七章 改革者はいつの時代も割に合わない | p.225 | 13分 | |
第八章 人を信じても信じなくても行きづまる組織のまわし方 | p.247 | 28分 | |
第九章 使える権力の身につけ方 | p.295 | 23分 |
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