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2016/10/03更新

組織サバイバルの教科書 韓非子

  • 守屋 淳
  • 発刊:2016年8月
  • 総ページ数:344P

248分

4P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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孔子の理想とした組織

孔子は、成果の上がる理想的な組織として「よき家族」を雛形とした組織を描いた。上下、同僚間を問わずお互いがお互いを信頼し、自分の得意とするところで力を発揮。さらに助け合い、育み合い、活かし合うような組織。このような組織を生み出すための胆を「上に立つ人間の品性・品格」に見ていた。皆から憧れられ、手本とされる人間が組織の上に立つならば、下は皆そのリーダーを慕い、信頼し、整然と組織を回すようになるだろうと考えた。しかし、孔子の理想とした「徳治」には問題もあった。

①徳の高い人物はそうそういない。たとえ今はいたとしても、後々続かなくなる
②徳を持った人物自体、変節してしまうことがある
③徳と信頼でしか上下が結びついていないので、現場の暴走を止める術がない
④自分を育ててくれた先輩や上司の悪や問題点を、咎めたり是正したりできなくなる

こうした問題への解決策として登場するのが、韓非に代表される法家の思想だった。

韓非の理想とした組織

韓非は「人は信頼できない」という前提をもとに機能する組織を作ろうとした。そして「人は利害で動く」というのが、韓非の基本的な前提であった。さらに韓非は、人を動かす際には、名誉が物質的な利益以上の誘因になるとも考えていた。

つまり君主たるもの、人が本能をむき出しにしがちな「恩賞」「厳罰」「名誉」という三要素によって共通の価値観というレールを敷き、組織をうまく1つにまとめていけといった。この制度の有り様を決めるものを「法」と呼ぶ。韓非は、皆が平和に暮らす理想的な国を作ろうとしていたわけではない。戦乱が進む状況の中で、内部から自壊しそうな組織を立て直し、生き残れる国を作りたかったのだ。

アメとムチによる統治

人為的な要素が排除できず、理想的な統治の実現が難しかった古代において、「法」を浸透させ、定着させるには何が必要だったか。韓非は「権力」の力を借りて国や組織に法を浸透させ、信頼できない家臣や人々を1つにまとめることを目指した。アメとムチの組み合わせを存分に活用することで、下を意のままに動かすのが権力の形である。韓非も「利」と「害」との組み合わせを考えたが、一番の柱としたのが、アメを賞、ムチを殺戮とする組み合わせであった。

家臣を操る術

権力というのは、必然的にその源泉の奪い合い、権力闘争を生まざるをえない。この副作用を制するために考案されたのが「術」であった。周囲や下から見ると「何を考えているのかわからない人」になれば、つけ入られることはない。相手には手がかりを与えないでおいて、自分の方は相手をしっかり観察し評価する。そして、否応なくアメとムチを与えるのが基本中の基本になる。