今後、誰もが100年を生きる時代がやってくる。長寿化時代においては、これまでと違った人生設計が必要とし、これからの生き方をアドバイスする一冊。
■寿命100年の時代の到来
私達は今、長寿化の進行という大きな変化の只中にいる。私達は、人生の様々な決定の基準にしているロールモデルより長い人生を送り、社会の習慣や制度が前提にしているより長く生きるようになる。その変化に向けて準備し、適切に対処しなくてはならない。
平均寿命は大幅に伸びる。過去200年間、平均寿命は10年に2年以上のペースで延びてきた。今20歳の人は100歳以上、40歳の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上生きる確率が50%以上ある。
20世紀には、人生を3つのステージに分ける考え方が定着した。教育のステージ、仕事のステージ、引退のステージである。しかし、寿命が延びても引退年齢が変わらなければ、大きな問題が生じる。ほとんどの人は、長い引退生活を送るために十分な資金を確保できない。この問題を解決しようと思えば、働く年数を長くするか、少ない老後資金で妥協するかのどちらかだ。しかし、3ステージの人生の縛りから自由になり、もっと柔軟に、もっと自分らしい生き方を選ぶ道もある。仕事を長時間中断したり、転身を重ねたりしながら、生涯を通じて様々なキャリアを経験するマルチステージの人生を実践すればいい。
多くの人が100年ライフを生きる長寿化時代には、人生の設計と時間の使い方を根本から見直す必要がある。
私たちが選択できる人生、シナリオ、ステージが既に変わり始めている部分もあるが、様々な局面でこれから変わるべきことも多い。個人や家庭が変わるべき点もあるし、企業とそのキャリア環境が変わるべき点もある。
重要なのは、後で変化を突きつけられるのではなく、今変化を予期して行動することだ。積極的に計画を立てて行動しなければ、長寿化は厄災の種になりかねない。
長い人生は基本的に一つの長い旅と考えるべきだ。それは、私達は1人1人の人生を性格づける旅である。その旅に乗り出す時には、次のような問いに答えなくてはならない。それはどのような形の旅になるのか? それを真の意味で自分の旅にするためには、どうすべきなのか? これらの問いの答えは、その人がどのような選択をし、どのような価値観で生きるかによって決まる面もある。一人一人の選択と価値観が人生の出来事やステージや移行の順序を決め、それが自己意識、つまりアイデンティティを築いていくのだ。
著者 リンダ・グラットン
1955年生まれ。ロンドン・ビジネススクール教授 経営組織論の世界的権威で、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」の一人。 ファイナンシャルタイムズでは「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ200人」に名を連ねる。 組織におけるイノベーションを促進するスポッツムーブメントの創始者。人事、組織活性化のエキスパートとして欧米、アジアのグローバル企業に対してアドバイスを行う。現在、シンガポール政府のヒューマンキャピタルアドバイザリーボードメンバー。
著者 アンドリュー スコットロンドン・ビジネススクール経済学教授、前副学長 オックスフォード大学を構成するオール・ソウルズカレッジのフェローであり、かつ欧州の主要な研究機関であるCEPRのフェローも務める。2005年より、モーリシャス大統領の経済アドバイザー。 財政政策、債務マネジメント、金融政策、資産市場とリスクシェアリング、開放経済、動学モデルなど、マクロ経済に主要な関心を持つ。
TOPPOINT |
週刊東洋経済 2016年10/29号−3 一橋大学名誉教授 石倉 洋子 |
エコノミスト 2016年 11/15 号 [雑誌] |
帯2 マサチューセッツ工科大学エリザベス&ジェイムズ・キリアン記念経済学教授 ダロン・アセモグル |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
帯 ハーバード大学教授 ニーアル・ファーガソン |
週刊東洋経済 2016年10/29号−2 大阪大学経済学研究科准教授 安田 洋祐 |
週刊東洋経済 2016年10/29号 [雑誌]( ふたつの仕事でキャリアを磨け 副業のススメ) 英FSA元長官 アデア・ターナー |
週刊ダイヤモンド 2016年 12/3 号 [雑誌] (ゼネコン 絶好調の先にある深淵) 八重洲ブックセンター事業開発部主任 鈴木 寛之 |
日経ビジネスアソシエ2017年2月号 |
PRESIDENT WOMAN(プレジデント ウーマン)2018年1月号(いま読み直したい感動の名著218) |
日経ビジネス |
週刊ダイヤモンド 2017年 1/28 号 [雑誌] (劇変世界を解く 新地政学) 早稲田大学ビジネススクール教授 平野 雅章 |
PRESIDENT WOMAN(プレジデント ウーマン)2018年12月号(ニュースがわかる経済入門) マネックス証券チーフ・アナリスト 大槻 奈那 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 100年ライフ | p.17 | 14分 | |
1 章 生 涯――長寿という贈り物 | p.39 | 12分 | |
2 章 資金計画――長く働く時代 | p.57 | 19分 | |
3 章 仕 事――雇用環境はどう変わる? | p.87 | 21分 | |
4 章 見えない「資産」――お金に換算できないもの | p.119 | 32分 | |
5 章 シナリオ――「将来可能な自己」を思い描く | p.169 | 32分 | |
6 章 ステージ――人生の新しい構成要素 | p.219 | 27分 | |
7 章 マ ネ ー――長い人生に必要なお金をまかなう | p.261 | 19分 | |
8 章 時 間――レクリエーションからリ・クリエーションへ | p.291 | 15分 | |
9 章 人間関係――私生活の変容 | p.315 | 26分 | |
最終章 変革への課題 | p.355 | 29分 |