ありとあらゆる選択は、他人からの影響を受けている。自らの意思決定に大きな影響を与える周囲から力の仕組みを解説している一冊。より良い意思決定をするための方法を考えさせます。
■人の決断は99.9%まで他人に影響を受けている
私たちがする選択は、自分の考えや意見によって決まるものだという考え方は、当たり前のように思えるが、そうではない。実は気がついていないだけで、私たちの人生は、ほとんどすべての側面において、他人からの影響を大いに受けている。私たちの決断は、99.9%までが他人によって方向付けられており、むしろ他人の影響を受けない意思決定や行動を見つける方が難しい。
人々は、他人の行動には社会的影響力が関係していることを理解できても、自分のこととなるとそれが見えなくなってしまう。私たちが自分は社会的影響力を受けていないと考える背景には、それが自分では見えないという理由がある。
私たちは、自分の意思によって何かを選んでいるつもりになっていることが多い。嗜好や偏愛や、心理的な好き嫌いがその根拠になっていると。だが実際には、自分で選ぶ食べ物から、使う言葉、そして、どの商品に人気が出るかまで、私たちは驚くほどに他人の影響を受けている。
私たちは周りを取り巻く人々によって常に方向づけられている。時には社会的影響力は模倣につながっていく。私たちは他人の行動を情報として利用して、自分一人で選ぶ場合よりも良いものを簡単に選べるように役立てている。私たちは仲間の選択や行動を模倣するものであり、その模倣が、私たちがどんな風に見えるかから、どんな商品やアイデアが流行するかまで、あらゆることを決定づけていく。
とはいうものの、人は他の人々を惹きつけるだけでなく、同時に跳ねつけもする。弟や妹が兄や姉からの差別化を図ろうとするように、私たちは他人から区別できる独自のアイデンティティを確立しようと必死になる。いつも違うものばかりを選ぶわけでなくても、他人とは充分に違うと感じることのできるやり方で、自分の選択をしていこうとする。
そして、私たちが他人の真似をしようとするか、逆に差別化を図ろうとするかは、その他人が誰であるかで決まる。私たちは、他人と完全に同じになるのも、完全に違ってしまうのも嫌なのだ。だから私たちは、類似性と相違性の間を縫うようにして、ほどよく違ったものを選び、行動する。私たちは、目新しさの誘惑と、親しみのあるものの心地よさをほどよく混ぜ合わせた、ほどほどの似た感じが好きなのだ。
結局のところ、周りにいる人々は、私たちがする選択に影響を及ぼすだけでなく、行動の動機付けにもなる。
著者 ジョーナ・バーガー
ペンシルベニア大学ウォートン・スクール マーケティング 准教授 一流学術誌に数多くの論文を発表するほか、ニューヨークタイムズ、タイム、サイエンス、ハーバード・ビジネス・レビューなどに寄稿し好評を得る。 また、Google, Facebook, Microsoft, GM、コカコーラなど、フォーチュン500からスタートアップまで、数多くの企業で講演・コンサルタントを行う。
帯 ハフィントン・ポスト創設者 アリアナ・ハフィントン |
帯2 ザッポスCEO トニー・シェイ |
帯3 アリゾナ州立大学心理学部 名誉教授 ロバート・チャルディーニ |
帯4 ハーバード・ネゴシエーション・プロジェクト共同創設者 ウィリアム・ユーリー |
帯5 ハーバード・ビジネス・スクール 経営学准教授 エイミー・カディ |
日経ビジネス |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 目には見えない「社会的影響力」の科学 | p.1 | 19分 | |
第1章 まねが生み出す同調の力 | p.27 | 45分 | |
第2章 その違いが決定的 | p.89 | 38分 | |
第3章 あいつらがやっているならやめとこう | p.141 | 50分 | |
第4章 似ているけれど違うもの | p.209 | 41分 | |
第5章 やる気に火をつけるもの | p.265 | 38分 | |
おわりに 社会的影響力を味方にしよう | p.317 | 10分 |