ベストセラーになる文章には、一定の法則がある。テキスト・マイニングと計量文献学の最新技術を駆使して、ベストセラーに共通する特徴を解き明かした一冊。
■ベストセラーには特有のパターンがある
ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリスト入りした作品はたまたま売れたわけではないし、市場は一般に言われるほど予測不能というわけではない。ジャンルにかかわらず、ベストセラーには共通する隠れた特徴がたくさんある。アルゴリズムを利用すれば、出たばかりの本やこれから出る本についても、同じようなベストセラーのDNAを持っているかどうかを調べることができる。
研究してわかったのは、ヒットさせるために大切なのは正しい言葉を正しい順序で並べることである。コンピューター・モデルに原稿を読ませて、数千という特徴を調べさせた結果、ヒットする小説には特有のパターンがある。そして、そこには読者や読書と結びつけて語る価値があることがわかった。
コンピューターが導き出した、ベストセラーに共通する特徴は次の通りである。
・3つか4つの中心的なテーマが全体の30%を占める本が売れる。それ以外の細かいテーマの数々は小説に風味を添える役割を果たす。コンピューターによれば、ベストセラーに最もよく見られるテーマは親密な人間関係で、登場人物の心の交流に焦点をあてたものになる。上位にくる他のテーマには、家庭、仕事、子供の学校生活、最新テクノロジーがある。
・三幕構成で均整のとれたプロットラインが読者を惹きつける。感情の起伏を綿密に計算して書くことが世界的なヒットにつながる。
・ベストセラーに限って言えば、日常で使われる言葉を理解することが必要不可欠である。
・読者に好まれる主人公には、行為主体性があり、ストーリーを引っ張っていく。
著者 ジョディ・アーチャー
ジャーナリスト ペンギン(UK)でアクイジション・エディターとして勤務後、スタンフォード大学で英文学の博士課程を修め、アップルに入社。文芸分野の研究員として勤務。 現在はフリージャーナリストとして活動している。
著者 マシュー・ジョッカーズスタンフォード大学Literary Labの創設メンバー ネブラスカ大学 英文学 准教授 計量文献学とテキスト・マイニングの第一人者として知られ、ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』などの古典英文学作品を中心に研究を続けてきた。 ニューヨーク・タイムズ、LAレビュー・オブ・ブックス、サンデー・タイムズ・オブ・ロンドンなどの主要メディアのコラムニストとしても活躍。
帯 統計家 西内 啓 |
THE21 2017年 07 月号 コルク 代表取締役 佐渡島 康平 |
週刊ダイヤモンド 2017年 7/22 号 [雑誌] (あなたのおカネの味方はどっち!? 金融庁vs銀行) 早稲田大学ビジネススクール教授 平野 雅章 |
週刊ダイヤモンド 2017年 8/12・8/19合併特大号 [雑誌] (制度改悪に備える家族の介護) 作家 瀬名 秀明 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 ベストセラーメーター テキスト・マイニングは出版を変えるか | p.7 | 24分 | |
第2章 代父母(ゴッドペアレンツ) 日常の何気ない時間を大切にする | p.47 | 34分 | |
第3章 センセーション 完璧なカーブをどうやってつくるか | p.103 | 29分 | |
第4章 デビュー 句読点は語る | p.151 | 29分 | |
第5章 ノワール 「ガール」は何を求めているのか | p.199 | 30分 | |
第6章 1冊を選ぶ アルゴリズムがウィンクするとき | p.249 | 23分 | |
エピローグ 機械が小説を書く なぜ作家でなければだめなのか | p.287 | 10分 |