マーケティングにも素早い実験が必要
ソフトウェア開発と同様に、マーケティングもかつては長い計画サイクルに沿って展開されていた。年ごとに何ヶ月もかけてその年に行うことをすべて詳細に書き出し、マーケターは大型のキャンペーンを準備し、それは何ヶ月も調整をし続けるようなものだった。
しかし、インターネットはこうしたマーケティングのあり方も変え、テンポも劇的に速くなっている。ソフトウェア開発と同様に、マーケティングも現実の顧客との距離がぐっと近くなっている。デジタルのおかげで、顧客が自社のマーケティングや会社自体とどのように関わっているか、驚くほど見えやすくなった。ソーシャルメディアでは、彼らの自社に対する考えを直接聞ける。顧客への影響に関して、マーケティングはより測定しやすくなり、説明もしやすくなった。顧客に対して、より共感を持つようになった。
ソフトウェア開発と同様に、この顧客中心主義はデジタルの適応力と組み合わさって、マーケティングもより多くの実験が行われるようになった。マーケターはメールマーケティングやオンライン広告、ランディングページなどに関して定期的にA/Bテストを行い、何が最も良い結果を生み出すのかを見極めようとしている。
マーケティング・マネジメントのサイクルを速める
デジタルな世界のスピードに合わせるためには、マーケティングの速度も上げなければならない。そのためには、自分たちのエネルギーをどこに、どのように注ぐかを素早く調整し、どの活動に組織として取り組むかを決める、マネジメントのリズムを速める必要がある。学んだことをもとに、計画を流れるようにアップデートできる能力を持ち、フィードバックループを速めるのだ。
マーケティングの速度を上げることが、よりアジャイルになるための基本である。その方法の1つが「スプリント」である。スプリントの長さを制限することで、マーケティング部門は一歩一歩、かつ反復的に仕事をし、考えるようになる。そして、スプリントの頻度を増やすこともアジャイルにつながる。
※参照「スプリント」
最小かつ有意な時間の区切りが組織の動く速度を決めるため、頻度は重要である。計画では個々のタスクを決めるだけでなく、複数のタスクを全体として計画し、様々なタスクの間で時間と資源の投資をどのように配分するかを決める。どのタスクをどの程度行うかは、最新の優先度合と効果を理解した上で決めていく。
デジタルにより、マーケティングではより反復的、そして段階的なアプローチが可能になった。そして、アジャイル・マネジメントは、そうしたアプローチを可能にする組織的なフレームワークを提供する。