宿泊施設・民宿を貸し出すマッチングサイト『Airbnb』の創業物語。
■Airbnbのはじまり
家賃が1150ドルに上がり、支払い期限は翌週に迫っていた。チェスキーの銀行口座には1000ドルしかなかった。だからどうやって小遣い稼ぎをしようかと頭をひねっていた。その1つが、サンフランシスコで開かれる予定の、国際デザイン会議にまつわる商売だ。数千人のデザイナーがサンフランシスコにやってくる。ホテルは一杯で値段が釣り上ることはわかっていた。そこで、会議に合わせてアパートの空き部屋で民宿をやってみようということになった。クローゼットにはたまたまキャンプ旅行から持ち帰ったエアマットが置いてあった。朝食付きで安い寝床を提供すればいい。会議の参加者がみんな読んでいるデザインブログに広告を出そう。
自分たちのデザインをもとに素人っぽいウェブサイトを立ち上げた。サービス名は「エアベッド&ブレックファスト」だ。2人はデザインブログと会議の主催者にメールを送り、サイトを宣伝して欲しいと頼んだ。すると、数日もしない内に3人から予約が入った。
2人はアイデアを誰にでも売り込んだ。チェスキーは憧れのデザイナーにコンセプトを語った。彼は言った。「アイデアってまさか、それだけじゃないよね」。それはチェスキーが何度も出会うことになる現実の壁との初めての遭遇だった。
「アイデアってまさか、それだけじゃないよね」。長いこと、彼らは拒絶され、バカにされ続けた。それがエアビーエヌビーの始まりであった。チェスキーが指揮をとるこの破壊的企業の市場価値は300億ドル(約3兆円)と言われ、1億4000万回の「ゲスト到着数」を誇り、300万部屋を超える在庫を抱えている。
エアビーエヌビーが開拓したのは、お手頃価格と豊富な部屋揃えを超えた何かだった。それは、いつもと違う特別な体験だ。その体験が完璧でないからこそ、画一的なホテルにはない、こじんまりとした「手作り」感のある旅行がしたいという望みが満たされる。誰かの家に泊まるという新しい体験は、もう1つの大きなニーズに応えていた。それは人とのつながりだ。
「世界中を居場所にする」
それがエアビーエヌビーのミッションで、究極の目標だ。エアビーエヌビーは「人生を変える」体験を提供する。それが「世界中を居場所にする旅」だ。
著者 リー・ギャラガー
フォーチュン誌アシスタント・マネジング・エディター フォーチュン誌が選ぶ「最もパワフルな女性サミット」の共同議長を務め、「40歳以下の40人」も担当。CBSの「This Morning」、MSNBCの「Morning Joe」ほか、CNBCやCNNでもコメンテーターを務めている。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
TOPPOINT |
週刊東洋経済 2017年10/14号 [雑誌](地価崩壊が来る) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
イントロダクション | p.6 | 12分 | |
1章 大ばくち | p.24 | 33分 | |
2章 会社をつくり上げる | p.72 | 24分 | |
3章 エアビーアンドビー共和国 | p.108 | 22分 | |
4章 わるいヤツら | p.140 | 23分 | |
5章 アンチとの闘い | p.174 | 31分 | |
6章 ホテル業界を破壊する | p.220 | 22分 | |
7章 リーダーになる | p.252 | 28分 | |
8章 3人が次に出すものは? | p.294 | 20分 | |
エピローグ | p.324 | 4分 |
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