私たちは本を読む必要があるのか。
読書家である伊藤忠商事の前会長が、本を読む意味を語っている一冊。
■読書は自由な世界を与えてくれる
「本なんて役に立たないから、読む必要はない」という考え方をする人が少なからず出てきたということは、小さい頃から遊びも勉強も習いごとも、親や周りから、よかれと思って与えられた環境で育った人が多いことを表している。
与えられたものの中でばかり生きていると、「自分の頭で考える」ということができなくなる。自立した思考ができないから、たまたま与えられた狭い世界の中だけで解決してしまう。
周りから与えられた狭い世界の中で、何に対してもすぐに実利的な結果を求める。そんな生き方は、精神的に不自由である。今の社会はかつてないほど自由度の高い環境だが、「何でもあり」の世界は、自分の軸がなければ、実はとても不自由である。それは前へ進むための羅針盤や地図がないのと同じだからである。それらがなければ、限られた狭い中でしか動けない。自分の軸を持つには、本当の「知」を鍛えるしかない。読書はそんな力をもたらしてくれる。
今の人が論理的に考える力が衰えているとすれば、読書量が減っただけではなく、マニュアル的な感覚が蔓延している影響もある。試験と同じで、仕事にも人生にも答えが用意されている。その答えをどれだけたくさん持っているかで、うまくいくか否かが決まってくると思っている人が結構いる。
しかし、仕事の仕方でも人生においても、正解があるわけではない。自分でいいと思うものをその都度探して行動していくしかない。その時々で、良いものを導くには、とことん考え抜く力がなくてはいけない。
本は「なぜ?」「どうして?」と考えながら読めば、それだけ考える力が磨かれる。考える力は生きていく力に直結する。それは何よりも読書によって培われる。
著者 丹羽 宇一郎
1939年生まれ。公益社団法人日本中国友好協会会長 元・中華人民共和国駐箚特命全権大使 大学卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年に社長に就任すると、1999年には約4000億円の不良債権を一括処理しながらも、翌年度の決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。2004年会長就任。 内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任ののち、2010年に民間出身では初の駐中国大使に就任。 現在、早稲田大学特命教授、伊藤忠商事名誉理事。
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日経ビジネスアソシエ 2017年 11 月号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 3分 | |
第1章 本に代わるものはない | p.15 | 19分 | |
第2章 どんな本を読めばいいのか | p.53 | 13分 | |
第3章 頭を使う読書の効用 | p.79 | 12分 | |
第4章 本を読まない日はない | p.103 | 12分 | |
第5章 読書の真価は生き方に表れる | p.127 | 15分 | |
第6章 本の底力 | p.157 | 12分 | |
おわりに | p.182 | 1分 |
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