ジョブとは
特定の商品を買う、という行為を引き起こさせる原因は、我々の誰にでも毎日起きている。日々の生活の中で片付けたい「ジョブ」が発生し、それを解決するために何かを雇用する。
ジョブは機能面だけで捉えることはできない。社会的及び感情的側面も重要であり、こちらの方が機能面より強く作用する場合もある。ジョブは日々の生活の中で発生するので、その文脈を説明する「状況」が定義の中心に来る。イノベーションを生むのに不可欠な構成要素は、顧客の特性でもプロダクトの属性でも新しいテクノロジーでもトレンドでもなく、「状況」である。片付けるジョブは、継続し反復するものである。独立したイベントであることはめったにない。
顧客が特定のプロダクトを購入し、使用する原因は何か
ジョブは本来複雑なため、顧客を観察して得た知見を分析しやすいようなデータに落とし込むことは容易ではない。ジョブを見極め、本質を明らかにするのは、現実にはかなり難しい。ジョブ理論が重点を置くのは、「誰が」でも「何を」でもなく「なぜ」である。
①その人が成し遂げようとしている進歩は何か
②苦心している状況は何か
③進歩を成し遂げるのを阻む障害物は何か
④不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか
⑤その人にとって、より良い解決策をもたらす品質の定義は何か
ジョブを明らかにする方法
①生活に身近なジョブを探す
②無消費と競争する(何も雇用していない人からも学ぶ)
③既存の間に合わせの対処策を観察する
④できれば避けたいことを探す
⑤意外な使われ方を観察する
顧客が達成しようとする進歩は、文脈の中で理解しなければならない。ジョブを見つけるのにあたって、重要なことはどの技法を使うかではなく、どういう質問をするのか、答えとして得られた情報をどうつなぎ合わせるかにある。
顧客が進歩を成し遂げるために苦労している点を見つけ出したら、片付けるジョブの機能面だけでなく、社会的及び感情的側面についても考えてみること。機能面、感情的、社会的側面の3つ揃うことが、プロダクト展開を真に成功させる鍵となる。
適切な体験を構築せよ
不満足な解決策しか与えられていないジョブを見つけ出すことは、最初の一歩にすぎない。顧客が自社製品を発見し、購入し、利用する、という一連の行為の中で、企業は適切な体験を構築しなければならない。さらに、そうした体験が一貫してもたらされるように、関連するプロセスすべてを統合しなければならない。重要なのは、顧客が進歩を遂げるのに役立つ体験なのである。