経済産業省とリクルートの共同事業を契機に生まれた「組織の中からイノベーションを起こす」研修を紹介している一冊。研修という場を使って、イノベーションを生み出す手順が書かれています。
■イノベーション研修の事前準備
①経営者とすり合わせを行う
・経営者がイノベーション研修に何を求めるのかを確認する
・イノベーションの期待領域や資源動員内容を経営者と共有する
②「場」を設定する
・非日常の「開かれた共同体」の場を用意する
・場を「ウィークタイズ(違う部署や異なる世代など会ったこともない人が集まる場)」な状態にする
③ファシリテーターを決定する
・「慣行の外」にいるファシリテーターを選ぶ
・無邪気な共感を繰り返す
④受講者を招集する
・招集は慎重かつ大胆に行う
⑤研修を「公式化」する
・研修の実施を全社に周知する
・フィールドワークのサポート体制を構築する
■イノベーション研修とは
イノベーション生成のプロセスは、アクションラーニングのプログラムと非常に似ている。アクションラーニングとは、個人が一連の研修とフィールドワーク(インタビューや調査、問題提起や課題の構造化、提案内容の精査など)を行い、状況に応じてチームを編成し、経営者に提言して承認を得るものである。
このプロセスのゴールとして、イノベーションの創出を設定し、その過程にイノベーションの生成プロセスを織り込んでいくことで、イノベーションを再現する研修プログラムが作れる。つまり、個人の問題意識を基点として社会課題を探索し、アイデアを獲得し、安全・安心な場で議論を繰り返してアイデアを磨き、顧客・市場との対話を繰り返して事業案にまとめ上げ、決められたスケジュールに則って最終的に経営者に提案し、承認を得るというプログラムを、アクションラーニングとして実施するのである。
著者 井上 功
1963年生まれ。リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブプランナー 1986年、リクルート入社。採用、人材開発、組織開発領域においてソリューション実績多数。1997年、98年と全社マネージャーMVP受賞。2002~2012年のHCソリューショングループ在籍時には、理念浸透、戦略共有、ブランディング等の人と組織の領域で、経営課題の解決を行う。 2010年に、経済産業省とリクルート(当時)で実施した「フロンティア人材調査事業」のプロジェクトリーダーを務める。2012年より現職。 現在は、イノベーション創出支援が主なテーマ。イノベーション研修(サービス名はiセッション®)などのさらなる展開を目指す。広島大学、国際基督教大学、日本経済新聞社、国土交通省等での講演実績多数。
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ なぜイノベーションに研修が必要なのか | p.3 | 17分 | |
第1章 イノベーション研修とはなにか | p.23 | 20分 | |
第2章 イノベーション研修は何をもたらすのか | p.47 | 22分 | |
第3章 実践・イノベーション研修 | p.73 | 65分 | |
第4章 イノベーション研修を成功させるための条件 | p.151 | 28分 | |
第5章 イノベーション研修の可能性 | p.185 | 7分 | |
エピローグ 今こそ人事が会社を変革せよ | p.193 | 5分 |