予算の出処でメディアの特性が決まる
何の予算でそのメディアを賄うのか、というのは大きな留意点である。広告のための費用なのか、採用のための費用なのか、あるいは広報、CSR、株主対策としての予算なのか、予算の出処がメディアの立ち位置に影響してくる。広告としての予算の面が強い場合、要は「売れる」のが第一になってしまうので、どうしても「オウンドメディアをやって、商品が売れたのか」という話になってしまいがちである。そうすると結果的に売らんかなの記事が多くなってしまうことになる。
目的とその施策による効果をどう測定するかが大事で、予算はKPIや達成する手段と密接に関係している。広報、CSR系の意向が強くならないと、ファンを広げるようなメディアにするのは難しい。うまく運営されているオウンドメディアは、商品の購買数の向上やブランドの認知の向上だけではなく、自分たち企業とファンとなるユーザーを結びつけたり、その業界のカルチャーを盛り上げることにもつながる。こうした成果は、直近では利益を生まないかもしれないが、将来的なユーザーを増やすことになる。
誰のために作るのか
メディアとは、発信する側と受診する側を結ぶもので、そこに読者がいなければメディアではない。受け手がいて、はじめてメディアは成立する。受け手の気持ちを考えずに押し売りするようなメディアは、もはやメディアではない。自分たちのコンテンツをただ流しているだけなら、これまでのコーポレートサイトで十分である。メディアをやりたいのであれば、誰が受け手で、その人にどうなってもらいたいかを考えることが必要である。
目的を明確にする
オウンドメディアを作ろうとする時にまず最初に考えるべきは「目的」である。オウンドメディアの目的の9割は「売上」である。ブランドを認知してもらうことも、売上につながるが、この場合はまず知ってもらうことが目的になる。ファンやコミュニティの育成も、直接売上につなげるというよりも、知ってもらって好きになってもらうことで選ばれる可能性を高めることができる。こうした目的は、コンテンツの種類や更新頻度などメディアとしての組み立てや、成果の捉え方にも関わってくるため、チーム内外で共通認識を揃えておくべきである。
そして、次にターゲットとなるユーザーをどのように想定するかが問題となる。重要なのは、コンテンツを届けた先で読者が何を受け取り、どう行動していくかである。読者にどんな想起をもたらしたいのかについて、とことん考える必要がある。