何人めの交際相手で手を打って結婚すべきか。何人めの面接で人を採用すべきか。コンピューター科学の最適化アルゴリズムに従って、様々な問題を数学的な確率で判断する考え方を紹介している一冊。
■37%ルール
市場に出ている中で最良のアパートに入居できる可能性の最大化を求める場合、良い物件を「見たのに逃してしまう」こと、そして「見る機会を持たない」こと、この2つのもったいない状況を最小限に抑えたい。では、判断基準がないのに、どうしたらアパートが本当に最良かわかるのか。アパートをたくさん見ない限り、判断基準は定められないのではないか。集めた情報が多ければ多いほど、最良の物件に出会った時にそれが最良だとわかる可能性が高くなるはずだ。最も、逃した後で気づく可能性もある。
最良の物件に入居できる可能性を最大にしたければ、部屋探しに充てる時間の37%(1ヶ月なら最初の11日間)までは結論を出さずにただ物件を見て回る。しかし37%以降は、それまでに見たどの物件よりも良い部屋に出会ったらすぐさま保証金を払って契約するのだ。これは数学で「最適停止」問題と呼ばれるタイプの問題だからだ。
人には時間のコストというものが常に存在する。だが、多くの人は探索に内在する時間コストを考慮しない。
我々は、合理的な意思決定とは全ての選択肢を徹底的に調べ上げて入念に比較した上で最良の選択肢を選ぶことだと信じ込んでいる。しかし、実際には時計が音を立てて動いている時、意思決定の様々な側面の中で、やめるタイミングほど重要なものはほとんどない。
最適解は「見てから跳べ」ルールというものだ。戦略を最適なものにするには、最初の37%まではただ見て、37%以降はそれまでの選択肢より良いものが見つかったところですかさず跳ぶべきだ。
著者 ブライアン クリスチャン
著作家 『ニューヨーカー』『アトランティック』『ワイアード』『ウォールストリートジャーナル』『ガーディアン』といった一般向け媒体や『コグニティブサイエンス』などの専門誌に寄稿している。
著者 トム グリフィスカリフォルニア大学バークリー校 心理学・認知科学教授 同校で計算認知科学研究室を統括する。認知心理学から文化的進化まで多岐にわたるテーマで150以上の論文を発表。全米科学財団、スローン財団、米国心理学会、心理科学協会などから賞を受けている。
帯 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 顧問 野口 悠紀雄 |
帯2 作家 デイヴィッド・イーグルマン |
帯3 作家 チャールズ・デュヒッグ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに―人の暮らしのアルゴリズム | p.9 | 10分 | |
1 最適停止―「見る」のをやめるタイミング | p.21 | 28分 | |
2 探索と活用―最も新しいものと最もすばらしいもの | p.56 | 36分 | |
3 ソート―秩序を生み出す | p.101 | 34分 | |
4 キャッシュ―さっさと忘れよう | p.143 | 28分 | |
5 スケジューリング―最初のものを最初に | p.177 | 32分 | |
6 ベイズの法則―未来を予想する | p.217 | 28分 | |
7 オーバーフィッティング―過ぎたるは及ばざるがごとし | p.251 | 25分 | |
8 緩和法―大目に見よう | p.282 | 18分 | |
9 ランダム性―偶然に任せるべきとき | p.304 | 31分 | |
10 ネットワーキング―どうつながるか | p.342 | 32分 | |
11 ゲーム理論―他者の心 | p.382 | 36分 | |
結論 | p.427 | 8分 |
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