立ち食いそばチェーン『富士そば』の創業者が、経営者の仕事で最も大切なこととは何かを説く一冊。アルバイトにもボーナスを出すという富士そばならではの考え方が紹介されています。
■従業員をなるべく大切に扱う
『富士そば』は、東京を中心に展開する立ち食いそば屋である。2017年10月現在、店舗数は国内外約130店舗で、従業員1000名弱。多くの店が駅前にあってサラリーマンの利用が多く、かけそばを1杯300円で提供している。
富士そばには不思議な仕組みが多いと言われる。しかし、最も大切にしていることは、突き詰めれば1つだけ。「従業員をなるべく大切に扱う」という、至極当たり前の方針である。
■細かいマニュアルがない
富士そばには創業当時から細かいマニュアルがない。例えば、そばの調理。「生麺をお湯に入れて、茹でるのは何秒」といったマニュアルは一応ある。但し、「マニュアルは参考程度にしてもらって、最終的には自由に調理してもらって良い」と従業員には伝えている。そばの調理の工程にあるそばの湯切りも、何回切るかは各自にお任せ。「細かいことは良いから、うまくやってくれ」。調理も、出来上がりさえ良ければ、自己流も大歓迎である。
■社員の自由にやらせる
社員にはなるべく自由にやらせて、個性的に生き生きと働いて欲しい。そうすると長く続くからである。どうでもいいような規則や慣習を押し付けられるほど、ストレスが溜まって、長続きしないものである。よって、出店先の物件の判断などのいくつかの例外を除いて、部下に報告・連絡・相談を求めることもない。基本的に、大体のことは「自分で判断しなさい」と社員に任せるようにしている。自分で考えて、自分で良いと思ったならば、そのまま自主的に進めて構わない。
■経営者の最も大切な仕事とは
経営者の仕事は、突き詰めて言えば1つだけ。「どうしたら従業員の意欲が出て、働きやすくなるかを考えること」である。
ただ従業員の頭数が確保されているだけではダメである。彼ら、彼女ら1人1人が、心から「よし、全力で働こう!」と思ってくれない限り、会社は動かない。その気持ちを抱いてもらうために動くのが、トップの最も重要な仕事であり、責務である。
著者 丹 道夫
1935年生まれ。ダイタングループ 創業者 四度にわたる上京と挫折を繰り返し、苦労の末に立ち食いそばチェーン「名代富士そば」の経営に至る。 作詞家としての顔も持ち、ペンネームの「丹まさと」名義で歌詞を提供した演歌は多数。
帯 NPO法人ほっとプラス代表理事 藤田 孝典 |
週刊エコノミスト 2017年12月12日号 |
PRESIDENT (プレジデント) 2018年1/15号(2018年お金のいい話) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 なぜアルバイトにボーナスを出すのか | p.9 | 22分 | |
第2章 富士そばが誕生するまで | p.53 | 12分 | |
第3章 人を育てるにはどうすれば良いか | p.77 | 26分 | |
第4章 商売のコツとは何か | p.129 | 19分 | |
第5章 経営者の役割とは何か | p.167 | 17分 | |
第6章 富士そばでは、なぜ演歌が流れているのか | p.201 | 9分 | |
おわりに | p.219 | 2分 |