映画監督の押井守氏による幸福論。
「人はどのようにすれば幸福になれるのか」など、幸福、仕事、偽物、人間、政治、映画をテーマとして論考する一冊。
■孤独のうちに幸福にはなれない
一般化して「これが幸福」などと定義することはできないし、幸福が定義できないとすれば「どうしたら幸福になれるのか」などということは、問い自体に意味がない。幸福な状態というものを一般化することができない以上、幸福はごく私的な基準で決まってしまう。幸福とは人によって違うし、あるいは本人が幸福と思えていることが幸福ではないというような矛盾さえはらむのが、幸福の実態である。
日本人は、常に神を信じ、祝福されるといった信仰心が薄いので、常に寄り添ってくれる存在はいない。結局は自分一人で生きていくことになるし、自分の手で幸福を掴み取るしかない。だから、必ず現実のパートナーは必要である。人間は孤独のうちには絶対に幸福になれない。必ず幸福を確認する相手が必要になる。最も、そのパートナーは人間の異性であるとは限らない。人間でなくとも良い。
幸福になるために自分は何を選ぶのか。それができなければ、絶対に幸福にはなれない。
著者 押井 守
1951年生まれ。映画監督 1977年、竜の子プロダクション(現・タツノコプロ)に入社。テレビアニメ「一発貫太くん」で演出家デビュー。1980年スタジオぴえろに移籍し、鳥海永行氏に師事。スタジオぴえろを退社してフリーに。 代表作に『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』など。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 論 虚構の中に真実を宿らせる | p.11 | 7分 | |
第1章 幸福論――幻想は人を不幸にする | p.25 | 17分 | |
第2章 仕事論――説得する努力を怠ってはいけない | p.59 | 15分 | |
第3章 ニセモノ論――つまり、初めからフェイクなのだ | p.89 | 13分 | |
第4章 政治論――覚悟を決めない政治家たち | p.115 | 15分 | |
第5章 人間論――人間以上に面白いものがあるはずがない | p.145 | 13分 | |
第6章 映画論――「良い夢を見た」でもいいじゃないか | p.171 | 17分 | |
あとがき | p.205 | 1分 |
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