神経科学者である著者が、神経科学の視点から、生産性の高い組織作りに欠かせない要素を紹介している一冊。信頼に基づく文化こそが、高い業績を生み出す組織を作る秘訣だと説く。
■信頼の文化が業績を高める
優れた業績を上げる組織には、従業員同士の信頼と、仕事へのモチベーションが高い文化がある。高信頼性組織の従業員は、低信頼性組織の従業員よりも生産性が大きく上回り、仕事により熱心に取り組み、勤続年数が長いだけでなく、家族や友人に自分の職場を勧め、高いイノベーション能力を発揮する。加えて、高信頼性組織で働く人は、同僚とより効率的に協力し合い、慢性的なストレスが少なく、心身ともにより健康である。
信頼は、効果的なチームワークと内発的な動機付けの基盤をもたらし、それによって組織の業績を見違えるほど成長させる。信頼があれば、従業員は最適な方法で個別の目標を達成でき、同時に組織全体としての目標に向けて全力を尽くせるようになる。信頼があれば、一緒に仕事をしている従業員を、1人の独立した意思を持つ人間として捉えることができる。その結果、高信頼性組織では、従業員が優れた職務遂行能力を発揮するだけでなく、プライベートではよき親、よき配偶者、よき市民として過ごすことができ、人生に対する満足度も高まる。
職場のエンゲージメントを維持する方法として、ポジティブな社会的交流を通じてオキシトシンが分泌される文化にすることが挙げられる。
著者 ポール・J・ザック
クレアモント大学院大学 経済学・心理学・経営学 教授 クレアモント神経経済学研究センター所長(2002年に自身が創設)。ロマリンダ大学医療センター臨床神経学教授。 2004年、人間が相手を信頼できるか否かを決定する際に脳内化学物質の「オキシトシン」(oxytocin)が関与していることを発見し、以来、オキシトシンが人間のモラルや社会行動に与える影響の研究に邁進。論文も数多く、行政機関、警察、経済、医学、心理学、宗教界等の関心を集めている。
帯 予防医学研究者 石川 善樹 |
週刊東洋経済 2018年2月10日号 [雑誌](大学が壊れる 疲弊する国立大、捨てられる私大) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 文 | p.15 | 17分 | |
第1章 The Science of Culture―あなたの組織の文化を科学する | p.39 | 19分 | |
第2章 Ovation―あなたは同僚の成果を称賛していますか? | p.65 | 17分 | |
第3章 eXpectation―あなたは従業員にどれほど期待をかけていますか? | p.89 | 23分 | |
第4章 Yield―あなたは従業員にどれくらい任せていますか? | p.121 | 22分 | |
第5章 Transfer―あなたの仲間たちは自分で自分の仕事を管理できていますか? | p.151 | 20分 | |
第6章 Openness―あなたは従業員に情報を公開していますか? | p.179 | 19分 | |
第7章 Caring―あなたの職場は従業員にとって居心地がいい所ですか? | p.205 | 24分 | |
第8章 Invest―あなたは従業員に十分な学習機会を与えていますか? | p.239 | 22分 | |
第9章 Natural―あなたは同僚にとって話しかけやすい存在ですか? | p.269 | 19分 | |
第10章 Joy=Trust×Purpose―あなたの組織は、目標が明確で、働く人たちが生き生きしていますか? | p.295 | 24分 | |
第11章 Performance―信頼が業績に与える影響 | p.329 | 22分 | |
あとがき | p.359 | 6分 |
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