インスタ映え、加齢臭、女子力、草食系男子、おひとりさま、イクメン、美魔女など、様々な新語が生まれるのはなぜか。人が新しい言葉を受け入れ、社会的に認知される仕組みを解説しながら、新語を生み出すために大切なことを説いています。
■社会記号は大きな影響を及ぼす
社会記号とは、生まれた時には辞書に載っていないのに、社会的に広く知られるようになり、テレビや雑誌でも普通に使われ、見聞きするようになる言葉のこと。「流行語」の1種と考えてもいい。社会記号はある日突然生まれる新語だが、一旦定着すると「あいつって草食男子だよな」「最近、女子力が足りなくて」など、まるで昔から慣れ親しんでいた言葉のように使われ始める。
新しく生まれた言葉が人々の間に定着して、日常的に使われるようになる、つまり社会記号化すると、世の中に大きな影響を及ぼす。しかも、これは企業活動にとって重要である。新商品をプロモーションする時には、世の中の潮流に乗っかる形で、プレゼンテーションした方が、メディアに取り上げられやすくなり、人々の関心を呼ぶ可能性が高くなるからである。
社会記号を理解し、またそれが生まれるプロセスについて知っていれば、人々の欲望の行き先、世の中が向かおうとしている「ちょっと先」が見えるようになる。
人間は不器用なので、なかなか自分の欲しいもの、やりたいことを言語化できない。具体的なものを目の前に出されて初めて、「これが欲しかった」と言う。これが欲望の実態である。
著者 嶋 浩一郎
1968年生まれ。博報堂ケトル共同CEO 1993年博報堂入社。コーポレート・コミュニケーション局で企業のPR活動に携わる。2001年朝日新聞社に出向。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクター。2002年から2004年に博報堂刊『広告』編集長を務める。 2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在NPO本屋大賞実行委員会理事。 2006年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。カルチャー誌『ケトル』の編集長、エリアニュースサイト「赤坂経済新聞」編集長などメディアコンテンツ制作にも積極的に関わる。 2012年東京下北沢に内沼晋太郎との共同事業として本屋B&Bを開業。
著者 松井 剛1972年生まれ。一橋大学商学研究科 教授 専門はマーケティング、消費者行動論、文化社会学など。 2000年から一橋大学大学院商学研究科専任講師。同准教授、プリンストン大学社会学部客員研究員を経て、2013年一橋大学大学院商学研究科教授、消費者行動研究学会監事。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 社会記号が世の中を動かす | p.5 | 5分 | |
第1章 ハリトシス・加齢臭・癒し・女子―社会記号の持つ力 | p.15 | 18分 | |
第2章 いかに社会記号は発見されるか―ことばと欲望の考察 | p.51 | 20分 | |
第3章 ことばが私たちの現実をつくる―社会記号の機能と種類 | p.91 | 18分 | |
第4章 メディアが社会記号とブランドを結びつける―PRの現場から | p.127 | 8分 | |
第5章 なぜ人は社会記号を求めるのか―その社会的要請 | p.143 | 16分 | |
第6章 対談 誰が社会記号をつくるのか | p.175 | 17分 | |
おわりに 社会記号をクリティカルに捉える消費者になるには? | p.209 | 5分 |
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