相手の世界に入り、共感ポイントを見つける
コミュニケーションの世界では、話すことより聴くことが大切だと言われ、「傾聴力」の重要性が語られる。確かに傾聴力は大切だが、傾聴することの本当の意味を理解しなければ、どれだけスキルを磨いても効果は発揮されない。傾聴する目的は「目の前の相手と心を通い合わせ、相手の伝えたいことを相手の意図するそのままの枠組みで、そのままの温度でキャッチすること」である。そのため、相手の話をよく聞くという姿勢より、「相手は何を思っているのだろう」「何を私に伝えたいのだろう」という目線で、まずは相手の描いている世界に入る必要がある。
具体的には、相づちやうなずき以上に「それってこういうことですか?」と質問したり、「その話詳しく聞かせて頂けますか」とお願いし、自分が少しでも共感できるポイントを探そうという視点で接することが大切である。
相づちにプラスαの言葉で感謝と喜びを伝える
聞き上手になれる方法は「相づちをうつこと」。気の利いたセリフや上手い返しではなくても、相手に対し「興味」「関心」「共感」を示すことができる。1つ注意しなければならないのは、「はい、はい、えぇ、えぇ」と同じ相づちをたくさんするのではなく、複数の種類の相づちを使い分け、相手に関心があることを伝えること。
「へぇ〜そうなんですね。知らなかったです!」といった具合にプラスαの言葉を加える。「大変勉強になりました」なども有効である。ただの相づちではなく、相手への関心は「あなたのおかげです」という感謝の気持ちと「あなたに教えて頂いて良かった」という喜びの気持ちを言葉にすることが大切である。
「線の質問」と「点の質問」のバランスをとる
コミュニケーションの世界では「質問力」の重要性も語られる。しかし、質問もただ相手に質問すれば良い訳ではない。質問をしすぎれば「馴れ馴れしい」と言う印象になり、ただ軽く相づちをしているだけでは「素っ気ない」という印象になる。そこで「線の質問(会話を深める質問)」と「点の質問(会話を広げる質問)」のバランスを意識すること。
ずっと線の質問をし続けると、しつこい印象を与えてしまう危険性がある。一方、はじめから一切深掘りせず、ずっと「点の質問」をしてしまうと、相手の答えに興味がないという印象になりかねない。適度な距離を保ちながら相手に寄り添うには、「線の質問→線の質問→点の質問」という2対1のバランスが良い。