世界でも注目される科学者、落合陽一氏が、日本をアップデートする方法を紹介している一冊。テクノロジー、経済、教育などの観点から、今日本に何が必要かを説いています。
■日本再興には意識改革が必要
日本を再興するため、世界を理解するために重要なのは「意識改革」である。集団に対する処方箋としての教育とテクノロジー、それを通貫するビジョンが必要である。
今の日本人の意識は、相当にネガティブである。「生産性が低い」といった話ばかりだが、今の社会システムのあり方であれば、生産性が低いのは当たり前である。我々の教育は、人に言われたことをやるのに特化していて、新しいことを始めるのには特化していないからである。むしろ、大量生産型の近代的工業生産社会ではそれで良かった。
国民に均一な教育を与えた上で、住宅ローンにより家計のお金の自由を奪い、マスメディアによる世論操作を行い、新しい需要を喚起していくという戦略によって、高度経済成長を成し遂げ、物質的に豊かになった。但し、今の状況でこの戦略を続けていくと、日本人1人当たりの生産性はどんどん下がっていく。機械親和性が低く、代替性の高い人類を生産する仕組みだからである。このまま高度経済成長モデルに拘泥し、「欧米」と言う幻想を追い続けていては、日本は再興できない。
このまま高度経済成長モデルに拘泥し、「欧米」と言う幻想を追い続けていては、日本は再興できない。しかし、意識改革を行い、正しい戦略にのっとって動けば、日本を再興することは難しくない。
我々は今、デザインにしても教育にしても「日本はダメで、何々に見習え」と言うばかりで、考え方の基軸がない。日本人は、外来的に入ってきたものを全て「欧米」と呼んで、いろんな分野で各国の方式を組み合わせてきた。そして、いいとこ取りをしたつもりが、時代の変化によって悪いとこ取りになっているケースが目立ってきている。
だからこそ、まずは日本が近代化以前に得たもの、日本が近代化以後に得たもの、そして、我々が今、通用しないといけないものをしっかり整理することが大切である。その上で「日本には何が向いているのか」を考えなければならない。
著者 落合 陽一
1987年生まれ。筑波大学 学長補佐・准教授 デジタルネイチャー推進戦略研究基盤基盤長 大阪芸術大学 客員教授 デジタルハリウッド大学 客員教授 ピクシーダストテクノロジーズ CEO メディアアーティスト 筑波大でメディア芸術を学んだ後、東京大学を短縮修了して博士号を取得。2015年筑波大学助教、デジタルネイチャー研究室主宰。2017年、筑波大学 図書館情報メディア系 准教授に就任。 経産省よりIPA認定スーパークリエータ、総務省より異能vationに選ばれた。 研究論文はSIGGRAPHなどのCS分野の最難関会議・論文誌に採録された。作品はArs Electronica、SIGGRAPH Art Galleryを始めとして様々な場所で展示され、Leonardo誌の表紙を飾った。 応用物理、計算機科学、アートコンテクストを融合させた作品制作・研究に従事している。BBC、CNN、Discovery、TEDxTokyoなどメディア出演多数。国内外の論文賞やアートコンペ、デザイン賞など受賞歴多数。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
日経ビジネス |
日経トレンディ 2019年 1 月号 C Channel 代表取締役 森川 亮 |
THE21 2018年 10 月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.11 | 11分 | |
第1章 欧米とは何か | p.29 | 24分 | |
第2章 日本とは何か | p.67 | 20分 | |
第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか | p.99 | 34分 | |
第4章 日本再興のグランドデザイン | p.153 | 21分 | |
第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー) | p.187 | 10分 | |
第6章 教育 | p.203 | 11分 | |
第7章 会社・仕事・コミュニティ | p.221 | 16分 | |
おわりに | p.246 | 6分 |