今、世界のトップ企業は軒並みインドに研究開発拠点を設立している。2020年にはシリコンバレーを抜くと見込まれるインドのバンガロールの現状と可能性を紹介している一冊。
■インド・シフトとは
インド・シフトとは「インドにグローバル戦略拠点や研究開発拠点を置き、社内のトップ人材や資金といったりリソースを徹底的に投入する。そして、インドの高度IT人材と共に、インドから世界的イノベーションを生み出していくこと」。
ここ数年、世界のトップ企業は軒並み、このインド・シフトを進めている。こうした背景には、インドIT業界の急成長と激変がある。インドIT業界は元々アメリカ企業のシステム開発の下流工程を低価格で手がける「オフショア拠点」として発達した。しかし、近年は急速に力をつけ、下流工程だけでなく上流工程まで手がけるようになり、今や世界を相手に1540億ドル(約17兆円)のビジネスを展開するまでに成長した。大手インドITサービス企業は巨大化し、グローバル企業のインド開発拠点は増え続け、インド発のスタートアップ企業も急増している。そのIT技術力はシリコンバレーにも迫ろうとしている。こうした激変の中心地が、南インドの都市「インドのシリコンバレー」と呼ばれるバンガロールである。
世界のトップ企業が「バンガロール」に開発拠点を置く理由は、以下の7点に集約される。
①世界最先端のITテクノロジーが集積し、高度な仕事ができる
②世界のITトレンドがいち早く読めるようになる
③ITエンジニアを必要なだけ雇用できる
④コストを抑えられる
⑤グローバル人材を獲得できる
⑥リバース・イノベーションを起こしやすい
⑦マーケットが今も右肩上がりで拡大中
著者 武鑓 行雄
元ソニー・インディア・ソフトウェア・センター 社長 ソニー入社後、NEWSワークステーション、VAIO、ネットワークサービス、コンシューマーエレクトロニクス機器などのソフトウェア開発、設計、マネジメントに従事。途中、マサチューセッツ工科大学に「ソフトウェア・アーキテクチャ」をテーマに1年間の企業留学。 2008年、インド・バンガロールのソニー・インディア・ソフトウェア・センターに責任者として着任。約7年にわたる駐在後、2015年末に帰国し、ソニーを退社。 帰国後も、インドIT業界団体でもあるNASSCOMの日本委員会の委員長として、インドIT業界と日本企業の連携を推進する活動を継続している。
TOPPOINT |
帯 ビジネス・ブレークスルー代表取締役 大前 研一 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
THE21 2018年 10 月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.5 | 3分 | |
第1章 なぜ世界のトップ企業は「バンガロール」に拠点を置くのか | p.19 | 15分 | |
第2章 インドのシリコンバレー、バンガロール | p.43 | 11分 | |
第3章 激変するインドIT業界 | p.61 | 35分 | |
第4章 インドのスタートアップ | p.119 | 30分 | |
第5章 グローバル人材輩出国インド | p.169 | 16分 | |
第6章 インド発・世界的イノベーションの可能性 | p.195 | 24分 | |
第7章 IT分野での日印連携に向けて | p.235 | 27分 | |
おわりに | p.279 | 2分 |
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