戦後、ベルト工場に丁稚奉公したところから70年。ベルト製造販売「丸正」創業者が、これまでの事業と人生の紆余曲折を語った一冊。
■ドジョウ獲りでビジネスを学ぶ
昭和10年、茨城県笠間市に5男坊とした誕生。実家は小作農を生業とした貧しい家だった。毎日の暮らしが大変で、生きるだけで精一杯だった。戦後、中学3年生になり、少しでもお金を稼いで、経済的に自立しようと思った。
色々試し失敗を繰り返す中で、ドジョウの商売を思いついた。ドジョウは労働力さえあれば、身近な場所で捕まえられてすぐ買い手がついた。当時はスーパーで肉や魚が豊富に手に入る時代ではないため、ドジョウは貴重なタンパク源だった。大量に捕獲したドジョウを田んぼに放して売るまでキープし、手桶に入れて家々を回ると次々に声がかかる。この時、人から喜んでもらってお金をもらうという商売の基本がわかった。
20歳で創業した丸正は、ベルト・革小物専門の企画・製造販売企業として、業界大手と認知されるようになり、創業60余年となった。「人が喜んでくれるようないいベルトを作りたい」と、いい素材、いい情報を求めて東奔西走し、結果的に世界一周した。人生は冒険旅行。見たこともない風景が見たかったら、誰も行かないような場所へ足を踏み入れなければならない。
著者 小薬 正男
1935年生まれ。丸正 代表取締役 15歳で東京・浅草のベルト工場に丁稚奉公に入る。20歳のときに独立し、台東区日本堤にて創業。国内外のブランドとライセンス契約を結び、ベルトをはじめとした革小物を提供。現在もいいモノづくりのために国内外を飛びまわり、2019年でベルト一筋70年目を迎える。 プライベートではワインをこよなく愛し、フランス・フロンサックで「シャトーマルショー」を醸造。
帯 ファッションデザイナー コシノ ヒロコ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 ガキ大将、ドジョウ捕りで商いに目覚める | p.9 | 10分 | |
第2章 浅草で丁稚奉公、ベルト道のはじまり | p.29 | 10分 | |
第3章 ワニをつかまえにアマゾンの奥地へ | p.49 | 17分 | |
第4章 ワシントン条約とワニ養殖失敗で大ピンチ | p.83 | 14分 | |
第5章 千住のユダヤ人、グローバル化の波に乗る | p.111 | 10分 | |
第6章 ヨーロッパ進出ならず、ワインに走る | p.131 | 16分 | |
第7章 中国という名の怪物 | p.163 | 13分 | |
第8章 集中治療室から生還 | p.189 | 10分 | |
第9章 のんびりなんて生きられない | p.209 | 9分 | |
あとがき | p.227 | 2分 |