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2018/07/19更新

知ってるつもり――無知の科学

342分

14P

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我々は思った以上に物事を知らない

人はなぜ、自分の知識を過大評価するのか。人は思った以上に物事を理解していない。人間の思考のプロセスや特徴を解説しながら、人間の認識について示唆を与える一冊。


■知性は個体ではなく、集団に宿る
認知科学の影の部分に目を向けると、人間の能力がおよそ考えられているようなものではなく、どこまでやれるか、何ができるかは大抵の人にとって極めて限られていることを示す研究結果が溢れている。個人が処理できる情報量には重大な制約がある。そして、個人の知識は驚くほど浅く、この真に複雑な世界の表面をかすったぐらいであるにもかかわらず、大抵は自分がどれほどわかっていないかを認識していない。

人間の知性は、大量の情報を保持するように設計されたコンピュータとは違う。知性は、新たな状況下での意思決定に最も役立つ情報だけを抽出するように進化した、柔軟な問題解決装置である。その結果、私たちは頭の中に、世界についての詳細な情報をわずかしか保持しない。知性は個体の脳の中ではなく、集団的頭脳の中に宿っている。個人は生きていくために、自らの知識だけでなく、他の場所、例えば自らの身体、環境、他の人々の知識を頼る。そうした知識をすべて足し合わせると、人間の思考は感嘆すべきものになる。

超短要約

私たちは自分の知識を過大評価する。つまり自分で思っているより無知なのだ。私たちは、自分は実際よりも物事を理解していると錯覚しながら生きている。

錯覚を避ければ、正確さが身につく。自分に何がわかっているか、わかっていないかがはっきりする。それが目標を達成するのに役立つのは間違いない。

しかし、錯覚は楽しいものだ。錯覚は別の世界、目標、結果を思い描くきっかけとなり、時として創造的製品の開発につながる。また錯覚することで、そうでなければやってみようとも思わない事柄に挑戦する意欲が生まれるケースもある。

知識の錯覚の中で生きている人々は、自分の知識に過大な自信を抱いている。それにはメリットもある。例えば、それは新たな扉を開く。大胆な主張をし、大胆な行動を起こす強さを与えてくれる。

著者 スティーブン スローマン

ブラウン大学 教授 認知科学者。Cognition(認知)誌の編集長をつとめる。

著者 フィリップ ファーンバック

コロラド大学リーズ・スクール・オブ・ビジネス教授 認知科学者

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
序 章 個人の無知と知識のコミュニティ p.9 17分
第一章 「知っている」のウソ p.29 16分
第二章 なぜ思考するのか p.48 11分
第三章 どう思考するのか p.61 18分
第四章 なぜ間違った考えを抱くのか p.82 15分
第五章 体と世界を使って考える p.100 19分
第六章 他者を使って考える p.122 21分
第七章 テクノロジーを使って考える p.146 20分
第八章 科学について考える p.169 16分
第九章 政治について考える p.188 21分
第一〇章 賢さの定義が変わる p.212 18分
第一一章 賢い人を育てる p.233 16分
第一二章 賢い判断をする p.252 20分
結 び 無知と錯覚を評価する p.275 10分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

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